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引き込まれた世界の中で④

翔は目が覚めると上半身をゆっくりと起こした。

瞬きをすると頬を涙がこぼれ落ちる。涙を拭って周りを見渡してみると自分の部屋にいる事に気付いた。時刻は5:32。窓からは日が昇ろうとしていた。

「あれは...。」

鮮明に記憶にある結奈との事。告白を断られた事で自殺をしようとしていた。とりあえず夢である事に安堵を覚えるとまた横になって考える。

『とりあえず持田さんに会って、どんな感じか確認しよう。』

サッカー部の朝練があるため二度寝はしない様に横になるがどうしても眠たい。気付けば二度寝をしており、朝練の為に掛けておいた携帯電話のアラームが鳴った。

翔はアラームを止めて朝練に行く準備をして学校へと向かう。

朝練をして、授業を受ける。3限が終わった時に翔は結奈の確認をしに1年生の教室が集まる校舎へと向かった。

結奈が何組か聞いていなかった事もあり、翔はとりあえず一つ一つ教室を見て周る。

1-4組の教室を見た時に結奈が静香と話している所を見ると翔は2人がいる所へと近付いた。

「どうかしました?」

結奈が翔に素っ気なく言うと、

「今日、良かったら食堂で一緒にご飯でも食べない?」

教室が男子が女子に誘った事による騒めきが包んだ。結奈は少し考えた後に、

「いいですよ。その代わり静香も一緒にいいですか?」

と静香が同行する事の許可を取ってきた。翔はもし断れば結奈は来ないと思ったので、

「もちろん。じゃあ昼休みに学食の扉の前で待ち合わせって事で。待ってるから。」

翔は少し微笑んでその場を後にした。

結奈は翔がいなくなった事を確認すると、

「ほら、やっぱり向こうから来たでしょ?」

とニヤリとした。

「男って結奈の作戦にまんまとハマるほど単純なのね。」

「こんな作戦できるの世界で私だけなんだから。もしこれで上手くいったら静香も好きな人と付き合える様に手伝ってあげるね。」

「私は遠慮しとくわ。好きな異性出来た事ないから。」

静香は結奈の質問の答えると休憩終わりのチャイムが鳴り、お互いに席に戻った。



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