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反発⑧

「ちょっと結奈!先輩をほったらかしにしてどこに行くのよ!」

静香の呼び止めに結奈は振り向いて、

「やっぱり急には私を見てくれないみたいだから。」

「この世界なら他に邪魔は入らないからゆっくり振り向いてもらえばいいのよ。」

静香は空中で結奈を抱き締めると結奈も手を回した。

暫くして結奈が少し離れると、

「あと...先輩をほったらかしにしたんじゃなくて現実に戻そうと消そうとしたんだけど消えなかったの。」

「...そう。それで置いてきたのね。」

「不味かったかな?何か先輩にだけ見える子がいて、その子を追い掛けてから変になって...。」

「先輩が急に結奈から離れて走りだしたのはそんな理由だったのね。」

「静香も何も見えなかった?」

「ええ、見えなかったわ。でも先輩だけ見えていたって事は先輩が作りだした幻影って事じゃないの?結奈は何も悪くないわ。気にしちゃ駄目。とりあえず今日はもう退散しましょう。先輩には悪いけど...。」

「先輩には現実に戻る方法を教えたから問題は無いと思うけど。」

「心配?」

「ちょっとだけ...。」

「その優しい所が好きよ。」

「もう茶化さないで。消えなかった時、本当に怖かったんだから。」

「まだまだこの世界にはわからない事が多いわ。何か起こる前の心配に震えていたら心が保たないわ。何かが起こってからそこから最善策を練りましょう。結奈の優しさはいつか自分を立ち直れない程、傷付けるわ。私、そんな結奈を見たくない。私はこれからもずっと結奈と一緒にいたいの。」

「ありがとう。少し楽になった。」

結奈が微笑むと静香も微笑んだ。

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