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第2回 miss morgan hotelの話

miss morgan hotelの物語

みなさんこんにちは。
今回は第1回のお話に出てきたmiss morgan hotelの物語を鑑賞します。
私たちはこの物語をベースにホテルづくりを始めました。

詳しくは第1回記事をご覧ください👇

みなさんはこの手紙からどんな物語を紡ぎどのように世界を広げますか?
紅茶でも片手にゆっくりとお楽しみください。

親愛なるモーガン・ミラーへ

ねえ、モーガン憶えてる?
あのとき、ふたりで旅した日のこと。
あのキャンバスの上に重なりあった
無数の色たちの向こう側の世界のこと。

あれはきっと
あのときのわたしたちだから見ることができた、
もうどこにもない、そしてどこでもない
景色だったとおもう。

今でもときどきまぶたが熱くなる
まるで鋭利なもので斬りつけたようにくっきりと
生命力で満ち溢れた花のように鮮やかに
私の中に、記憶としてこころのいちばん深いところにあり続けています。

あれから十五年・・・

聞こえていますか、見えていますか、憶えていますか
あのときあなたが歩いて行った光の先には
どんな世界が広がっていましたか。

わたしはいま、とある街の小さなホテルで働いています
はじめは画材を買うお金欲しさにはじめたことだっったけど
これが意外と楽しくて、ホテルって不思議な箱ね
呼んでもないのにいろんな人が訪れてくるの
人種、文化、性別、年齢、目的そんな全ての違いが
ぐちゃぐちゃに入り混じった場所
まるでキャンバスにありったけの色をぶちまけて
こねくりまわした抽象絵画みたいで、とっても好き

わたしね
ここで部屋に飾る絵も描かせて貰ってるんだけど
ときどき絵を見たお客さまがわたしを呼びとめて
絵の感想を話してくれたりするの
わたしがどんな意味をあたえても
解釈は向こう側であらゆる方向に延びていて
ときにはわたしの知らない思いもよらない方向へ世界を広げて
わたしを驚かしたりするの
絵はただここにあるだけなのに
向こうに広がる世界はいくつもあって
複数の世界がぶつかり合ったり、かさなり合ったり
まるで生きているかのように呼吸をしているの

それでねわたし気がついたの
もしかすると、あのときわたしたちが見た景色も
まだあの絵のなかのどこかにあって
何かの拍子にもういちど姿をあらわすことがあるんじゃないかって

まあそんなこんなで毎日を過しているうちに
私も一つの目標ができました
それはなんとホテルをつくること
絵の向こう側に世界がいくつもあるように
ホテルという箱の中にもいくつも世界があって
絵を描くことと場所をつくることが私の中で重なり合ったの

できれば小さくて可愛いホテルにしたいな
ベッドルームやリビング、いろんなところに絵を飾って
そうだ、バスルームにも飾ろう
広がる夢を小さな場所にぎゅっと詰め込んだ
ずっと前から誰かが住んでいたかのような濃度と密度で
目新しいものや豪華な飾り付けなど何にもなくても
そこには絵という窓がたくさんあって
見る人しだいで世界はどこまでも広げることができる

そんなホテルをつくりたい

それから、そこであなたと再会するの
そしてふたりでもういちどあの絵の前に立ちたい
今ならわたしも光の向こうへ進むことができるとおもうから

ホテルの名前は「ミスモーガンホテル」
あなたの名前を使わせてもらうね
いつか出会える日が待ち遠しくて待ち遠しくて
紙の上で筆の先が踊っています

ミラ・ブラウン


ミラ・ブラウン

ミラは私たちにとって架空のオーナーです。
姿形は存在しませんが、私たちの指針であり大事にしている精神です。
私たちはその存在をインターネット上にアサインしています。
概念だけでなく、今後も生きた存在であり続けるためです。

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