見出し画像

スナップショットには動きも奥行きもない

Netflixで配信中のアメリカ映画「スタッツ: 人生を好転させるツール」
俳優ジョナ・ヒルとの対話を通して、一流精神科医のフィル・スタッツが、自身の若い頃からの体験を振り返り、独自のビジュアルセラピーについて語る。」

Netflix

今回のお話はちょっとミッシングピースから離れてみます。
「スタッツ」は俳優ジョナ・ヒルが人間を曝け出して映像に収まる覚悟も素敵だし、医学博士スタッツがパーキンソン病の病状を受け入れ話し、イラストを描く姿に胸を打たれます。以前にご紹介した”真珠の首飾り”(人生は痛みと不確実性を伴う行動の連続であるということをちょっと傷のある真珠の玉に紐を通し続けるしかないのだと例えている)の例えを知った時は私の人生が勇気と愛で包まれたと感じたほど、私の中では他に類を見ない傑作です。

その「スタッツ」の中で、「スナップショット」という言葉が、嫉妬をテーマにした話の時に登場します。博士は「スナップショットには動きも奥行きもない」と言います。つまり、人生は行動の連続で留まることなど一瞬もできないのに「スナップショット」は一瞬を永遠にすり替えて見せている。そこに至るまでの道のりも次の瞬間に起こるかもしれない不測の事態も消し去っている。意識していなくても誰もが持っている劣等感・羞恥心・嫉妬がスナップショットを完璧なイメージとして完成させていることを忘れてはならない。

SNSを見て羨ましい、憧れると言った感情を持つことは自然なことかもしれないけど、私たちは生きてるから、瞬間、瞬間を飛び移ってるわけじゃないから、羨ましがらなくていいんだって、どこかで意識してほしいってことかなと。

富士山って遠くから見たらものすごく美しい山頂をいただいた山ですが、実際に登るとただの岩だらけの危険な山です。山に登るまでは山の頂上に憧れ、頂上にたどり着くと山頂からの日の出や景色を愛でるって何やってんだろう。。。

途中の困難なこと、登ることに集中した瞬間、一定の息遣い、仲間との連帯感など、山頂への道のりの経験に自らの可能性を感じ、自然への畏敬の念を感じる。そういうことはスナップショットからは得られないってことが「スナップショット」という言葉が著しています。