セルフポートレートの人が気づいた セルフポートレートの利点と挑戦
こんにちは。
ある展示会にて、すれ違った方に
「あ、セルフポートレートの人だ!」と呼ばれて以来
セルフポートレートの人 を名乗っています。
須賀えま(ベティ)こと、Claireです。
最近訳あってセルフポートレートをとにかく撮りまくっており、
そこで利点欠点と呼ぶのか
良いところと、挑戦 と呼ぶのかにいくつか気がつきましたので
ここにまとめようと思います。
◼︎ セルフポートレートの良いところ
常々書いていることですが、制作をするにあたっては
良いことがたくさんあります。
◻︎ 制作したいとき、人探しの必要がない
まず、ぱっと何かテーマが閃いたとき、
モデルやカメラマンを探す必要がないことが挙げられます。
被写体も撮影者も気がつけばいつもそこにいる(本人)ので
おもむろに
「今日の予定は?」と聞いてみて
「う〜ん、化粧して衣装を着て・・
撮影して夜ご飯までに帰ってくるとなると・・2時から6時ならいいよ」
と言ってもらえれば
この会話だけで4時間も撮影時間を当日に確保することができます。
Social Mediaでモデルやカメラマンを募ることも
撮影許可の出た制作者を1ヶ月先まで待つこともしなくて良い
すぐに撮影に着手できることが利点の一つです。
◻︎ リスクを犯せる 無茶ができる
他人をモデルとして使うときはもちろん相手に気を使います。
転びそうなところには連れていかないし、撮影中に休憩をしたり
無茶はさせません。
しかしモデルが己となれば話は別。
冬に滝に飛び込ませることも、崖の上で手を広げることも
社会的にしてOKなことなら、無茶させても文句の一つもありません。
それを撮りたいのは何を隠そうわたし自身ですから。
このポーズしてもらいたいけどちょっとリスクがあるな・・
と思うような作品ならば己をつかうことで
肩が外れてもいい!そのポーズして!とお願いすることができます。
個人の性格にはよりますが
大胆な作品、あるいはテーマに正確な作品を作るには
最高のパートナーになり得ると思います。
◻︎ 加工し放題
他人をモデルに使う際は
いくら雰囲気に合うからと言っても、
顔や形を変えるのはどうしても気がひけるもの。
モデルによっては
加工されたくない、
加工されては困る
という方もいらっしゃいます。
しかし被写体が己となれば話は別です。
雰囲気に合うように、とか
髪の毛の形を変えたり
むしろ服装を変えたり、何をしても誰の風評被害にも繋がらず
実際の写真をPhotoshopの練習にも使えるという利点さえもあります。
同時に、派手なメイクやヘアの練習台にすることもできますね。
◻︎ 撮影・ポージングの練習ができる
第三者の撮影者・被写体を巻き込まずに
何か試したい絵があれば一人きりで練習をすることができます。
モデルとしての成長はカメラの角度、光の角度やその他諸々の条件と
それを反映した、出来上がった写真を何枚も見てできるものですから
色々な角度、場所にカメラを置いてみて1mmの角度の違いを体感してみて
第三者との撮影に臨むと、一気に成長を感じられるものと思います。
◻︎ (おまけ) 身の危険が少ない可能性がある
これはわたしの場合だけかもしれませんが
こんな格好で歩いていると
片手に常に武器を持っている状態なので、少し強くなった気分になれます。
(遠くまで行くときはちゃんと鞄にいれています)
誰かに襲われたらこれで自己防衛を・・と思うことで
少し安心することがあります。
◼︎ セルフポートレートの挑戦
「わたしにセルフポートレートを撮る勇気があれば・・」
という人がいるように
屋外で撮影する場合はさらに
「あの人何してるの・・・?あれ三脚?
ん?あの人自分を撮ってるの?」
という目でみられることを覚悟して挑む必要があるものです。
◻︎ 人目が気になる
わたしはモデルをはじめて3年ぐらいで
観衆の目が視界の中でも見えなくなるという
悟りの境地にたどり着きました。
(三脚や機材をそこに置くことで)
人に迷惑をかけているな という意識がなければ、
大勢の人の目がわたしに向いていることは特に気にはなりません。
しかし、気になる方は気になると思うし、
特に観衆が遠くから撮影風景を撮影し始めたり、
インタビューしにきたりすることもあるので、
今からセルフポートレートを撮り始める方は覚悟が必要かもしれません。
◻︎ 盗難の危険性
国、場所によりますが、ご想像のとおりセルフポートレートを撮るには
手に届かない位置にカメラを置く必要があります。
わたしの場合は事情があり、35mmで撮影することがほとんどで
広角の構図が好きなのでカメラからは基本的には離れて立っています。
わたしは、基本的に撮影は超早朝に行うことに決めてはいますが、
毎回必ず人気がない時間帯に実施できるわけでもなく
屋外でセルフポートレートを撮影することには
盗難のリスクがいつでも伴うものです。
三脚とカメラを遠くに置いておくだけではなく
衣装で撮影している場合は貴重品などもフレームに入らないよう遠くにおくことになると思うので、盗難には要注意。
わたしの場合は
・貴重品は絶対に手放さないこと
(衣装が大きいフレアスカートなら、その中に入れておく、靴紐に鍵は結びつけておくなど)
・ハイヒールはなるべくはかないこと
(実際に盗難が起こった時に全力で追いかける準備)
・人が少しでも近くにきそうになったらカメラに戻り、安全を確保すること
などを心がけています。
本来ならばシャッターを切らなくてもいい
機材を持たなくてもいいし
まるで撮影の手助けはしてくれなくていいから
カメラと貴重品だけ見守ってくれている人がいてくれることが
一番ありがたいですね。
◻︎ 全て一人でこなしている場合 助けがない
わたしは現在住んでいるフランスでは車を持っておらず
公共交通機関で行ける場所の範囲は限られています。
少し車を走らせれば良い公園や山もたくさんあるのですが
そこに一人で行くことは不可能。
そしてわたしの撮影方法の場合は、必ず三脚が必要。
三脚とカメラを担いで、テーマによっては衣装を持って
更には見た目も美しいままでそこまでたどり着く・・
ということはほぼ不可能な場合もありますから
車を持っておくことか、
写真を撮るのが趣味だが
セルフポートレートを撮っている間は他のものを撮っていてくれる親切すぎる友人がいたりすると、とても撮影がしやすくなりますね。
◻︎ 感性・視覚からの情報を参考にできない
モデルと歩いていてぱっとモデルの方を見ると
光がきれいだったり、水面の反射がきれいだったりして
「今、そこ・・そこ!そこにいて!!その角度!ちょっ」
とか言いながら、モデルに立ち止まってもらって
シャッターを切ることがあるのですが、
セルフポートレートではそれができません。
光を見ながら角度や深度など調整をすることもできません。
被写体は事前にそこにはいないので、いくら光がきれいであろうと、反射が綺麗かもしれなくても、被写体をそこにおいた時にどう写るかは撮るまでわかりません。
光の角度によっては、水が張っていても反射もしないかもしれない。
このときは取り急ぎカメラにスタンドインをしてもらいましたが
「今この瞬間がきれいだから、撮ろう」という流れができないのはセルフポートレートの欠点の一つです。
◻︎ インスピレーションに幅がない
第三者と撮影をすることで
「その考えはなかった!」「これをそう見ているとは!」と
新たな観点を見せてもらって、視野が広がったり
新しい作品に挑戦できることがありますが
セルフポートレートの場合、自身が感じたもの、見たもの
自身の観点の反映になるので、新鮮な情報や影響を受け
それを反映することは難しいです。
一人きりの世界観になってしまう可能性が高く
主観が詰まった作品になることが多いので
Social Mediaで共有をしたり
他者と一緒に撮影に行ったりと
他者の意見を取り入れる方法を見出しておくとよいかもしれません。
◻︎ 撮影者・被写体に変化がない
カメラマンとして腕がない、とか
ポージングがわからないだとか
そんなことは場数でどうにか訓練することはできるかもしれませんが
毎回同じ人に撮られて、毎回同じ人を撮ることには
困難が付いて回る時もあります。
「こんなときはもっと華奢で背が高いモデルが欲しい・・」とか
「髪の毛が短くてタバコ吸う女の子いないかな・・」なんて思っても
被写体はいつも己
なんの変哲もなく中の中の見た目の
いつでもほいほい付いてきてくれるこの人。
(わたしの場合です)
専属モデルに感謝はしていたとしても
テーマによっては
「頭で想像していた絵と違う・・」となることも多々あり
「モデルが少しこうだったら・・」と願うことも多いです。
そんなときは、セルフポートレートでまず下見をしておいて
本物のテーマにあったモデルで本番撮影としてみるのもよいかもしれないですね。
さて、今回は最近思ったセルフポートレートのPros & Consを書いてみましたが、また思いつくこともあるかもしれません。
屋外でセルフポートレートに挑もうとしている人がいたらまずは
手助けはしなくていいから、
貴重品だけカメラの近くで見守っていてあげる
ということが大切ですね。
【PROFILE】
Anna Claire (和名: 須賀 えま)
セルフポートレートアーティスト
15歳からモデルを始めて22歳からカメラマンとして仕事を始め
現在はフランスでセルフポートレートを撮影している。
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