源夢さんの置手紙

その点が何の名残なのかは知るよしもなかったが、書き記した人にすれば別れを告げる一言だったのだろう、と思いながら通りすぎ、歩きながらも、その点になっている文字のことが消え去らないのだった。
そうして歩いているうちに、その三つの点が、遠い昔に書き残した自分のことのように思えてくる不思議に、もう振り返ることをせず、街角を通り抜けた。


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