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花の降るスクリーン

初めて見たのは、ドラマのワンシーン。内気で屁理屈な主人公がドラマの後半にかけての1話でアイドルにドはまりするシーン。そこで出てきた彼女たちが、たった一瞬だけだったのに、当時中学3年生の私は何だか忘れられなかった。

ジャニーズしか見てこなかった中3の女の子が、クラスの誰も知らなかった音に、ダンスに勇気をもらい続けてた。

そのアイドルグループは、でんぱ組.incでした。

女の子のアイドルグループなんて、全然興味なかった。テレビで毎日のように見れるジャニーズと、誕生日プレゼントで親に買ってもらったウォークマンの中のRADとアジカンと、椎名林檎と、みんなに勧められたボカロ。それだけあれば毎日なんとなく楽しかった。

ドラマの後なんだか気になって開いたYouTubeで、当時リリース直後だったでんでんぱっしょんをクリックして、びっくりした。こんな世界あるんだ、と多分そんな感じの印象。何より、

「楽しいことがなきゃ、バカみたいじゃん!?」

この言葉が初めて見た時から大好きだった。そしてそれを歌っている、ミントグリーンの彼女、ねむきゅんに一目惚れした。それから、楽しくなってきてクリックする手が止まらず、夢中で動画を見ながら、気付けば泣いていた。

なんで。なんで、こんな明るい曲なのに。ワクワクするのに、なんで。

今思えば、きっと、でんぱの歌はどれも今よりより1歩でも良くなろうとする、生きづらかった過去を今アイドルという方法で戦い続ける物語であり、何より気付いていなかった生きづらさと戦い続ける私の物語でもあるからなんだと思う。

周りのイメージに近付けようと本当の自分にちょっとだけ蓋をして、合わせていたことが少ししんどかった。家では長女として振る舞いつづけることが辛かった。でんぱのみんなを見ている、曲を聴く、動画を見る。その行為全てが私自身が本当に心から好きと思っていることで、そのままの自分でい続けることがその時間は許されている気がしていた。

その中でもずっと好きだったのはねむきゅんだった。ミントグリーンという色や自身を作品として作り出しているこだわりが、絵を描くことや美術が好きな私にとってどこまでも揺らがないものがあることが憧れだった。自分にない価値観をくれることば、でも時々見える不器用さ、すべてが大好きで、追いかけていた。

最初の武道館しか現場に行けなかったし知識もぼんやりないわゆる在宅のゆるオタだったけど、リュックに愛まのアクリルキーホルダーとミントグリーンのカラビナをつけていた青春時代は少なからずずっとでんぱと、夢眠ねむと過ごしたと思う。

大学生になって忙しくなって以前より離れていたけどねむきゅんが卒業・引退することになって、今までの曲や、卒コン映像やら色々見ていた時に、ふと吉田豪の部屋を見かけた。いっぱい食べて怒って楽しく話しているねむきゅんに21歳になった私はめちゃくちゃに心が動かされた。
なんだろう。ただ話しているだけなんだけど、大人になった私の中でねむきゅんが私に与えてくれた遺伝子みたいなものや好きな気持ちがとても大きかったことに気付かされた。
その配信中に言っていた中で印象的なことが「ぺったんこの見方」だった。
相手の立場で1度考えること。どちらが良い/悪いの価値基準で全ては決まらないこと。そこに至るまでのバックグラウンドが全ての人にあること。自分が知っていることが全てではないこと。
めちゃくちゃ当たり前の事だけれど、インターネットでも現実でも二極化してしまったり相手の痛みがわからなかったりしてしまうことで傷つき傷つけ生きづらさを感じていることがあると思う。そんな世の中をどうにか1ミリでも動かしたくて仕事の選択をしている就活生の私には、このもやもやや気持ちが正しいものであること、大好きなアイドルがそう言ってくれていることが嬉しかった。
痛みや繊細さを持つ人だからこそ意味があるこの言葉を、私は大切にしたい宝箱の中に今までのねむきゅんと私の思い出と一緒にしまっておきたいと思ってる。

本が昔から好きな私には、ねむきゅんの世界観に本というフィルターを通して触れられる本屋さんが本当にたのしみでしょうがないです。素敵な大人になって見に行きたいな。

やさしく、おおらかで、かしこく、時に不器用なあなたが私の人生の憧れです。

月並みだけどありがとう!
君がくれた今を、これからも生きていくよ〜〜〜〜!!!!!!

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