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夫が脱サラしてシェア型書店やりたいと言い出した⑤〜私たちのお店へ〜

以前から家の相続や私たちの生活を気にかけていたアサシンは、同居の申し出に二つ返事で了承してくれた。


「ほんとはさ、あなたのご両親やおばあちゃん達もみーんなで暮らしてさ、お互い助け合ったり、子どもを見守って暮らすのが一番いいと思う!それくらい私は家族がいるのがいい!」


この言葉を聞いて心底嬉しかったし安心した。
「あの人、家族に世話を焼くのが一番好きなんだよ」と夫も言っていた通り、アサシンに1人暮らしは合わない。体調を崩しがちになったのも、1人暮らしになってからだ。

もちろんお互いのプライバシー確保は大切だが、アサシンはちゃんとその辺も話し合えるので、私も今後めちゃくちゃ助かるなあ〜とありがたかった。

それにしても。回復した途端、鋭敏な動きであちこちに菓子折りを配りに行く姿…やっぱアサシンとしての訓練を積んできたに違いない。足捌きが違う。






引っ越しの準備もあり、お腹も大きくなってきて、パート先での勤務も秒読みになった。とても寂しかったがやる事は山積みだった。


そんな中、夫が「近々、初めてブックマンションでお店番なんだ〜」と話してくれた。

夫はこれを書いている今でも、吉祥寺にあるシェア型書店「ブックマンション」にて棚主をやっている。



「えー!楽しみじゃーん、いいね〜」
「うん、緊張するけど、今後自分でやるわけだし勉強にもなるからありがたいよ」
「せやな〜楽しんできな〜」


そしてお店番前日。

「緊張する〜」と言いながら本を読んだりスマホを見たりとソワソワしている夫を見て思った。

「…………いや、自店舗のフライヤーとか?!?無いなら作れ?!?!?!?!?!」


しかし、夫に急にそんなことを言ってもフライヤーが出てくるわけはない。しかし少しでも告知して、知って頂かないと、当然ながら棚を借りたい棚主さんは集まらない。
SNSで「やります!」とは投稿していたが、折角店頭に立つなら、紙モノも導線として用意しておいた方がいいだろ!!


と、言いながらiPadでCanvaを開く。

パート先で、季節限定の新商品のチラシは私が作っていたのだ。店長はスーパーウーマンなのでデザインもできるのだが、なんせお忙しいので、私がある程度デザインを作って、店長が加筆修正をするという流れができていた。


伝えたいことを絞って簡潔にまとめ、店舗はまだ何も出来て無いからこのイメージ画像使って……


子を寝かしつけてからが本番なんだ




「これ!!コンビニで印刷して持ってけ!!」
と、データを叩きつける勢いで送信。

「え!?めっちゃいいじゃん!わかりやすい〜ありがとう〜!」

申し訳ないねぇ〜俺ひとりじゃこれは出来なかったなあ〜なんて腰低く受け取ってくれた。





全くもう!なんて言いながら、なんだか笑顔の自分がいた。


夫の想いを伝え、共感してもらうにはどういう言葉が適切?どんな経験からそう思ったのかをなるべく簡潔にわかりやすく伝えるには?お店のイメージが伝わる色や写真はどれだ…?



そう考えて作っている時間が、楽しかった。
「あれってこういうこと?」と夫に確認しながら、一緒に作るのが楽しかった。


「なかなか言葉が出てこないんだよな〜」なんて言いながら一生懸命考える、夫の想いに一緒に向き合って、現実的な形にしていくのが、とても楽しかった。


時間にしてみれば1時間程で作った、デザイナーでも、コピーライターでも無い私が初めて作った、店舗のフライヤー。


「夫のお店」から「私たちのお店」に、ここで変わった気がする。

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