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男も女もつらいよ。ーNetflix『ヒヤマケンタロウの妊娠』のはなしー

自分が経験したからなのか、最近、妊娠・出産をテーマにした本や映画を自然と選んで見ることが多くなった。

その中の1つが、Netflixドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』
感じたことがたくさんあったので書き残しておこう。

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このドラマでは、男性も妊娠・出産するようになって約10年経った世界を描いている。
主人公のヒヤマケンタロウは、広告会社に勤めるエリートサラリーマン。彼は、ある日突然自分が妊娠したことを知る。その出来事を機に、世間の男性妊娠・男性出産に対する偏見やパートナーとの関係性について考える中で、彼自身が成長していくという物語。

なんと言っても、斎藤工演じるヒヤマケンタロウが大きなお腹を大切そうに抱えているビジュアルが強烈で、気になって見てみた。

最初は、妊婦(この場合は妊夫か)ならではの心身の変化の描写がちょっと大袈裟なんじゃない?と思いながら見ていたけど、男女の役割が逆転した世界をのぞいてみることで、私自身、「父親はこうあるべき」「母親はこうあるべき」と気づかないうちに決めつけていると気づいてハッとした。

例えば、主人公のパートナーの女性・アキに、出産目前に魅力的な仕事が舞いこんでくるシーン。その仕事は長期で海外に行かなければならない仕事。アキはその仕事に挑戦したいと考える。

このシーンを見て、出産目前に母親が不在になるなんて…と思ってしまったけど、現実の世界では夫側が海外駐在していたりなんて、よくあることだろう。実際私たち夫婦もそうだし。なんとなく女性側が子どものそばにいるのが当たり前だと思い込んでいることに気付かされた。

それに、胸が痛くなったシーンがひとつ。
アキがヒヤマケンタロウに「あなたが産むわけじゃないでしょ」と言われるシーン。
Twitterでのつぶやきや友人との会話でも、妊娠している女性がパートナーの男性に対してその言葉を使う場面に遭遇することがあったけど、もし自分が逆の立場だったらつらい言葉だなと思った。
だって、男性側はどうしたって出産を代わることができないのだから。
もちろんお腹を痛めて出産する側に寄り添う姿勢は必要だけど、身体の作り的にできないことを言われるのはつらい。

私たち夫婦は夫が海外で働いている関係で、妊娠期間中から別々に暮らしている。
妊娠・出産してみて、つらいことがたくさんあった。
でも、だからといって男性につらいことがないわけではない。
もし私が夫の立場になったとしたらと考えたら、それはそれで大変なのだ。
平日は夜遅くまで働いているし、子どもに会えるのは数ヶ月に1回だし。

そう考えると、どっちも大変なんだ。
男もつらいし、女もつらい。
だからこそ、お互い歩み寄って寄り添う必要があるんだよなと思った。

当たり前なんてない。
ヒヤマケンタロウとパートナーが二人で話し合って、お互いの生き方をすり合わせていく姿が素敵だった。女性の方が海外で働いて、男性が日本で子育てしたって別にいいんだもんね。

夫が週末の電話の最後に口にする、「今週もお互いの持ち場で頑張ろう」の一言。
このドラマを見てから、その言葉がより心に響くようになったのでした。

おわりに:このドラマについて、敬愛するゆとたわのお二人もお話ししているので、ぜひ聴いてみてくださいな。
30回「男とか女とか既婚とか未婚とかじゃない世界 〜ドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』より〜」

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