5-6. 曖昧輪郭線技法と環世界 【ユクスキュル / 大槻香奈考】
「この技法が後に「曖昧輪郭線」と呼ばれる(勝手にそう呼んでいる)シリーズへと発展していく。(中略)曖昧なものを曖昧なまま、輪郭線を引く。」―― 72 | 空を掴む(2015)より
「空を掴む」
引用元:https://twitter.com/kanaohtsuki/status/668060288084656128
この技法には、人間以外の目線で対象を見た状態を想像する面白さがあるように感じました。また、色使いなどは複雑であるはずなのに、どこか安らぎを感じるのです。
豊かすぎる環世界を持つとあまりにも多くのものを感じ取ってしまうため、わざと感度を落とす(フィルタリングする)ことで、負担を減らしていく感覚に似ているのかもしれません。
曖昧な輪郭は、現実世界そのものを描いているとも言え、かつ、情報過多な世の中から身を守るために環世界を意図的に変容させた結果とも言えるのではないでしょうか。
前述の格子線のように、救いややすらぎをもたらす一つの装置としても捉えることができるように思います。
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