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開館40周年記念展 扉は開いているかー美術館とコレクション1982-2022 埼玉県立近代美術館

埼玉県立近代美術館ではコレクションを通じて開館から40年を振り返る「扉は開いているかー美術館とコレクション1982-2022」を開催しています。

埼玉県立近代美術館は1982年11月3日「開館記念展 印象派 からエコール・ド・パリへ」の開幕とともに開館しました。開館以来、当館は多彩な時代・ジャンルの美術や文化を紹介する独自のテーマの展覧会を多く開催してきました。また、埼玉県ゆかりの作家の作品を核に、これまでに約3,900点を数える国内外の近現代美術の作品資料を収集し、MOMASコレクション所蔵品展や企画展、教育普及事業などで紹介しています。調査研究や展覧会を通して収蔵作家や作品を様々な角度から捉え直すことによって異なる作品同士が思いがけない文脈で交点を結びコレクションは豊かにその枝葉を広げています。
この展覧会では、2022年に開館40年を迎える埼玉県立近代美術館そのものに焦点を当てます。
この美術館の原点ともいえる開館前後の活動、黒川紀章の設計による美術館建築、美術館の活動と分かち難く結びつきながら成長するコレクション、コミッションワークやプロジェクトなど、様々な視点から40年間の活動を紐解き、美術館が築いてきた土台を検証するとともに、これからの美術館を展望します。

プレスリリースより

第1章 近代美術館の原点 コレクションの始まり

埼玉県立近代美術館は1982年11月3日、「開館記念展 印象派 からエコール・ド・パリへ」からその活動を開始しました。この展覧会で重点的に取り上げられたのは、田中保、斎藤豊作、斎藤与里、森田恒友など現在でもコレクションの核となっている埼玉県ゆかりの洋画家でした。埼玉の美術を軸に始まった美術館の初期の活動を初代館長・本間正義の視点を交えて振り返ります。

プレスリリースより

第1章展示風景


第1章展示風景


第2章 建築と空間

美術館の設計を手がけた黒川紀章は、かつてこの場所に建っていた旧制浦和高校の記憶を継承しつつ、建物と公園との「共生」というコンセプトを描きました。この章では、黒川のスケッチ・ドローイングや竣工当時の写真資料、北浦和公園内の屋外彫刻作品とその関連資料などを通して、美術館の 建築や空間を紐解きます。建築を被写体に生活や時間の痕跡を捉えた写真作品を手がける写真家・飯沼珠実が撮り下ろした美術館のいまの姿も見どころです。

プレスリリースより


第2章展示風景


第2章展示風景


第3章 美術館の織糸

1970年代の美術の検証、ジャンルを越境した多彩な活動で知られる瑛九を 起点にしたコレクション形成、新聞や雑誌の挿絵や図案など大衆文化や複製芸術に軸足を置いた小村雪岱の仕事という3つの視点から、調査研究や展示 、教育普及といった美術館の活動と分かちがたく関わり合いながら成長してきた埼玉県立近代美術館のコレクションを紹介します。

プレスリリースより
第3章展示風景 瑛九セクション


第3章展示風景 瑛九セクション


第3章展示風景 瑛九セクション


第3章展示風景 瑛九セクション


第3章展示風景 小村雪岱セクション


第4章 同時代の作家とともに

開館以来、美術館は多くのアーティストと協働し、その活動に伴走してきました。本章では当館の空間や建築に対して応答するようにして生み出された 作品やプロジェクトを中心に紹介し、美術館と同時代美術との関係にも目を向けます。田中米吉《ドッキング 表面 No. 86 1985》や宮島達男《Number of Time in Coin Locker》など、美術館の空間に合わせて制作され、館内で常設展示されている作品にも注目します。

プレスリリースより
第4章展示風景より トモトシ《グレイトイベント》(2019)



本展の瑛九セクションでは、初期の油彩画からフォトデッサン、晩年の点描作品を通じて変遷がたどれるだけでなく、遺族から寄贈をうけた多くの本や自筆のノート、フォトデッサン作成のための切り抜きなどの豊富な資料が展示され、また関連として瑛九周辺の作家の作品も見ることができました。埼玉県立近代美術館の所蔵品だけでも瑛九の足跡をたどることができる充実した内容です。
今回の調査で目録上記載あるもののあまり表に出てこなかった瑛九の資料を再発見したそうです。
開館から40年が過ぎ、これまで美術館を支えてきた人たちが去る中で、彼らに紐付けられていた多くの資料や作品の情報を次の世代へつなげるための取り組みとしても本展があるとのことでした。
本展はコレクション展でありながらも図録を作り、これまで作られなかった自館の年譜も掲載するなど、将来にむけたアーカイブとして機能させようとしているのかもしれません。

画像は許可を得て撮影しています。



会期:2022年2月5日(土) ~ 5月15日(日)
※会期中、一部作品の展示替えがあります。
前期:3月27日(日)まで
後期:3月29日(火)から
休館日:月曜日(3月21日、5月2日は開館)
開館時間:10:00 ~ 17:30(展示室への入場は17:00まで)

https://pref.spec.ed.jp/momas/is-the-door-open




レビューとレポート第33号(2022年2月)