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生誕110年 香月泰男展 練馬区立美術館

2022年2月6日より、練馬区立美術館で香月泰男展が開催されます。


 太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描いたシベリア・シリーズにより、戦後美術史に大きな足跡を残した香月泰男(1911-74)の画業の全容をたどる回顧展を開催いたします。
 山口県三隅村(現・長門市)に生まれた香月泰男は、1931年に東京美術学校に入学し、自身のスタイルの模索をはじめました。1942年に応召し、復員した1947年以降は、故郷にとどまって身の回りのありふれたものをモチーフに造形的な挑戦を繰り返しました。1950年代後半に黒色と黄土色の重厚な絵肌に到達した香月は、刻限状態で感じた苦痛や郷愁、死者への鎮魂の思いをこめて太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描き、「シベリアの画家」として評価を確立していきました。
 シベリア・シリーズは応召から復員までの主題を時系列にならべて紹介するのが一般的であり、そこではシベリア・シリーズのもつ戦争と抑留の記念碑としての側面が強調されてきたといえるでしょう。しかし、実際の制作の順序は、主題の時系列とはおおきく異なっています。
 本展では、シベリア・シリーズを他の作品とあわせて制作順に展示します。この構成は、一人の画家が戦争のもたらした過酷な体験と向き合い、考え、描き続けた道のりを浮かびあがらせるでしょう。戦争が遠い歴史となり、その肌触りが失われつつある今、自身の「一生のど真ん中」に戦争があり、その体験を個の視点から二十年以上にわたって描き続けた、「シベリアの画家」香月泰男の創作の軌跡にあらためて迫ります。

プレスリリースより


第1章 1931~49
逆光のなかのファンタジー

香月の修業時代、初期の叙情的絵画世界「逆光のなかのファンタジー」とよばれた時代、そして従軍とシベリア抑留を体験したことで自身の体験を描くため新たな表現を模索することになる時代の作品から構成されています。

第1章展示風景


第1章展示風景


第2章 1950~58
新たな造形を求めて

油彩画による日本的美意識表出のために日本画画材を使用しはじめ、後の画面構成へつながっていく作品で構成されています。

第2章展示風景


第3章 1959~68
シベリア・シリーズの画家

日常にふとよみがえる記憶を絵画化していくうちに一つのまとまりとなり、画集「シベリヤ」出版とその記念展でその一群がシリーズとして提示される作品で構成されています。

第3章展示風景


第3章展示風景


第4章 1969-74
新たな展開の予感

自身の置かれた状況を俯瞰し描いた作品を作り始め、モノクロームから色彩が戻りつつありその後の展開を予感させますが画家は突然亡くなることになりました。その晩年の作品で構成されています。

第4章展示風景





香月が使用していた絵の具箱

トートバックなどの展覧会グッズもあります


会期:2022年2月6日(日) ~ 3月27日(日)※途中展示替あり
前期:2月6日(日) ~ 3月6日(日)
後期:3月8日(火) ~ 3月27日(日)
休館日:月曜日
ただし、3月21日(月・祝)は開館、3月22日(火)は休館
開館時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
※リピーター割引あり

https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202110291635493767

以下のイベントは中止となりました。
■「香月泰男とふるさと三隅」丸尾いと(香月泰男美術館 学芸員)
2022年2月6日(日)
■「香月泰男とわたし」野見山暁治(画家)
2022年2月26日(土)


画像はすべて許可を得て撮影したものです。




レビューとレポート第33号(2022年2月)