わたしを証明する輪郭が夜に溶ける。

暗闇に手をのばしてみれば、
わたしと世界の境界線は
よりいっそう曖昧になる。

在るようで、無い。

何者にもなれない私は、
朝が来れば輪郭を取り戻して
気味の悪い笑みを浮かべながら
あまりにも鮮明な世界で生きる。

同じように笑い返す彼も
消えてしまった彼女も
膨れ上がった風船のようで
いつか爆ぜてしまわぬようにと。

夜になれば
みんな、とけてしまうのに