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強制的な栄養投与のさわり

 前回までで、食べる事と食べられない時の話は終わり。

 今回から、
 じゃあ、どうやって栄養を体に入れるか?
の話です。

 まず、大きく分けると、
 腸管を使うか使わないか。
 次に、腸管を使うのであれば、口から小腸までのどこを使うか?
と、分ける事が出来ます。

 話が、簡単なので、腸管を使わない栄養投与方法から説明します。

 腸管を使わないで栄養投与する時には、直接血管に栄養を入れます。
 要は、点滴です。
 ただ、点滴をする血管が問題です。

 よく見る点滴であれば、末梢血管、手とか足とかの見える血管に、サーフロー留置針と言われるプラスチックの針を刺して、そこから点滴を入れます。
 ただし、末梢血管から入れられる点滴のカロリー量には限りがあって、ブドウ糖では10%の濃度までしか入れられません。
 点滴で投与するカロリーは、ブドウ糖(4kcal/g)と脂質(9kcal/g)で投与します。それぞれ液体にして、砂糖水と液体の脂肪で投与するわけですが、たくさんカロリーを入れようとして、点滴を多く入れてしまい、体で処理できる量より水分が多くなりすぎて、水分が溢れて、心不全になってしまいます。
 なので、1日に投与できるエネルギーは、頑張って、10%ブドウ糖液で2000ml(800kcal)+脂肪製剤でちょっと追加くらいです。
 実際は、心不全の危険があったりして、そんなには投与できません。
 1日1000kcal程度のカロリー量は、ずっとベットで寝ている、80歳、90歳の高齢者が生命維持できるかどうか程度のカロリー量(基礎代謝量)なので、ちょっと感染などでエネルギーが必要になると、たちまち不足します。
 更に、基礎代謝程度で生活している人達は、ベット上生活の方達なので、大体、末梢血管が細くなってサーフローが入り難くなります。

 なので、血管から、十分に、安定して栄養投与をしようとすると、次から話す中心静脈と言うところに点滴をする事になります。

 栄養投与に関して、ちょっと専門的な説明です。


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