それは、延命治療?④
前回、マスク類および⑤マスク型人工呼吸器の治療を途中で止められるか、を考えてみました。
今回は、
一番の問題の⑥気管挿管もしくは気管切開をしての人工呼吸です。
前回も書きましたが、
物理的には人工呼吸器を外して、本人の生きる力に任せるという事は可能です。
ですが、人工呼吸器が必要な病状であれば、多くの場合は、呼吸器を外したら自力では体に酸素を届けられはないので、死亡すると思います。
さらに、過去、何度か気管挿管をした人工呼吸器絡みで裁判になったりしてるので、社会的にも影響が大きいです。
止めたら亡くなってしまうような人工呼吸器を外すことでさえも、治療における患者さんの自己決定権を考えると、理屈的には本人・家族が納得していたら問題ないかと思います。
ですが、
呼吸器外しに対する世間の反響があまりにも大きいので、止めるにしても院内の倫理委員会を開いたり、弁護士などの法律家、場合によっては警察に相談したりとか、かなり大事になります。
なので、
現実的には、気管挿管の人工呼吸器は①改善して必要が無くなって外す。②挿管中であっても、呼吸器以外の臓器がどうにもならなくなって亡くなる。③呼吸以外の状態が安定しても、例えば意識が戻らなくて呼吸出来ないみたいな状態であったら、気管切開をして、そこに呼吸器を繋げて、呼吸を続ける。この時は、止めたいと思っても、前の様な理由で中止する事はかなり大変。
ということになります。
加えて、気管挿管もしくは気管切開して人工呼吸器をつけるかどうかの判断時間は、慢性疾患の場合は、月・年単位ですが、急性疾患の場合は長くて数時間、短くて今すぐ判断となります。
なので、あらかじめ考えておく必要があります。
最後は、⑦体外式膜型人工肺(エクモ)です。
この治療まで行う人は、そもそも呼吸以外の全身状態もとんでもなく悪いので、回復するか救命できずに亡くなるかだと思いますし、この治療を選択するような、年齢だったり、社会的背景があったりする人では、治療中断が選択肢には挙がり難いと思われます。
という訳で、中止すれば亡くなってしまう治療を中止するかどうかは、治療選択の権利はもちろんありますが、それよりも、社会的にどのような扱いを受けるかどうかが重要だと思います。
次回、酸素投与・呼吸器関連の書いてきたことをまとめたいと思います。
呼吸器外しに関する、弁護士さんの解説です。
コラム|第222回 終末期医療と人工呼吸器の取外し | 弁護士法人東町法律事務所 (higashimachi.jp)
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