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【新聞連載第16回】教育事業のつくりかた
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「教育の仕事をしています」と話すと、多くの人から「学校や塾の先生ですか?」と聞かれます。
実際に高校で授業も教えていますが、あくまで社会人として教鞭をとっています。では、多くの人が考える学校や塾で教えていることと、私たちが行なっている場づくりは何が違うのでしょうか。
先回の連載では、義務教育は学習指導要領をもとに作られていて、その歴史や影響について書きました。今回は、私が作っている教育事業はどのようにして作られているかを紹介したいと思います。
小学生から若手社会人向けに、これまで数多くのプロジェクトを作ってきました。企画を作るきっかけになるのは、予算やニーズなど様々にありますが、その内容自体は「人間中心設計」を心がけています。
ユーザー中心設計とも呼ばれますが、設計の各段階でエンドユーザーのニーズ・要
求・制限などに多大な注意を払って設計を行うことを指します。教育事業だけでなく、エンジニアや製品企画、建築など様々な分野で応用が可能なデザイン哲学です。
様々な人たちと連携して事業を作りますが、あくまで参加対象の若者が、何を得られてどのように成長できるかを最優先に考慮した上で、内容を作っていきます。
「何を成長と呼ぶか」が、義務教育と違う点です。私たちが成長と呼ぶのは、テストの点数のように数値化できない「主体性」や「創造力」など「生きる力」を養うことです。
生きる力とは、彼らが社会人になったときに活きる普遍的価値となるものを指します。例えば、社会人とのコミュニケーションや課題解決をしていくプロセスです。
主体性とは、彼らが先生や親に監督されない環境で、強制されずいきいきと活動をできることを指します。私たちが彼らに指導することはほとんどなく、先生や親のいない環境を意図的に作っています。
場を用意し、コーディネーターとして彼らの成長をサポートする伴走役だと考えています。創造力とは、彼らのクリエイティビティを引き出し、実際に形にするところまでサポートすることを指します。材料や人、アイデアや考え方などをサポートし、相談に乗りながら「やってみたい」を形にする体験ができる機会を作っています。
私がディレクターを務めるコラボキャンパス三河は、様々な人たちとコラボレーションしながら、若者にとっての学び場(キャンパス)を作ろうというコンセプトで名付けています。
連携を通して、若者が普段出会わない社会人と接し、成長して社会に羽ばたく姿を見てきました。今となっては、社会人となった彼らが後輩たちに向けた事業に関わってくれて、行う事業もあります。このサイクルを絶やさぬよう、これからも私たちの教育事業を作り続けたいと考えています。
(2019年8月18日 東海愛知新聞掲載)
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