現役ドラフト、上から見るか、横から見るか

ホットカーペットしか暖房器具のない部屋で寒さに震えています。みしマンです。

前回に引き続き、今回も、twitterのフォロワーさんから頂いた題材の中から、noteに書いてみようと思ったものをセレクトさせていただいたものを書いていきます。今回は、ことねおんさんが触れてくださった、この題材について! なお、1と2に関しては情報の紹介に全振りしますので、僕個人の見解について読みたいという方は3まで飛んでくださればと思います

1.ルール5ドラフトという前例

この、聞き慣れない言葉が世に出てきたのは、さかのぼること3年半ほど前、2018年7月のこと。MLBにて採用されている、ルール5ドラフトを参考にして、選手の飼い殺しを防ぐ制度を作ろうという目的のもと、ルール成立を目指している段階です。ブレークスルードラフトとも称されます。なお、1970-1972年にはトレード会議、1990年にはセレクション会議という試みが行われましたが、定着しないまま終了しています。

・・・で、ルール5ドラフトとは何ぞや?ということになるわけですが、これはMLB規約の第5条に載っている、既にドラフト指名されてプロリーグに所属している選手を対象とした、MLBのドラフト制度のことです。ザックリまとめますと、以下のような規定があります。(Wikipediaや、このサイトを参考にしています)

❶在籍4年(5年の場合も)以上の選手が対象

❷指名するには40人枠に空きがあることが必要で、指名可能選手は40人枠から外れた選手のみ

❸指名した球団は元球団に100,000ドルを支払い、原則として1シーズンを通して26人枠に入れておく必要がある

❹26人枠から外す場合、ウエーバー公示してどこも獲得しなかったなら、元球団に返還しなければならない(その際は50,000ドルだけ返金される)

❺26人枠に入れておく必要のない、マイナーリーガーを対象とした移籍が行われる場合もある

※40人枠➡MLB登録可能な契約状態(NPBでいえば「支配下登録」)

※26人枠➡MLBでベンチ入りできる人数(NPBで言えば「一軍登録選手」)

これを見ていただけると分かってくると思いますが、あくまでも飼い殺しを防ぐために作られた制度です。移籍が起こるかどうかより、選手がMLBに登録されることが最重要目的となっています。他球団に所属選手を指名されたくなければ、40人枠に入れておけばそれで問題はないわけですし、指名した球団も、単に指名するだけではなく、MLBでベンチ入りさせておかなければならないというリスクが生じます。

2.現役ドラフトと、ルール5ドラフトとの違い

現役ドラフトは、導入が叫ばれて以降、選手会と日本野球機構とが何度かにわたって交渉を行なっており、そのたびにマイナーチェンジが繰り返されていますが、最新の状況(2021年10月29日)ではこのような内容になっているようです。

❶戦力外通告が終わり、保留者名簿が提出されて以降となる、12月~翌年1月に実施

❷各球団が提出するリスト(5人以上)の中から指名できる

❸2022年オフからの実施を目指す

まず、時期に関して、それまでの交渉内容から考えると、かなりの進展があります。それまでは戦力外通告のに行うという内容でしたが、現段階では戦力外通告のということなので、戦力外候補選手が並ぶという事態は避けられるのではないかと思われます。あとは、そのリストが、支配下選手の中から5人以上なのか、育成選手も含めた5人以上なのかというところが気になるところです。

ルール5ドラフトの規約を先に紹介しましたが、この制度にも正直、問題はあるように感じられます(たとえば、40人枠を空けるため、リリースされたり、40人枠を外される選手が出てくるという事例は後を絶ちません)し、一軍登録人数も、NPBは70人ですがMLBは40人なので容易には比べられません。エッセンスは汲んだとしても、ルールとして大きく違うものとなっても、それは仕方ないと思います。

※なお、膨大な人数のマイナーリーガーがいるMLBのほうがプロスペクトが飼い殺しされそうなのは間違いないですが、ルール5ドラフトで陽の目を見る選手は、全体からすると本当に一部だそうです。とはいえ、一部とはいえスター選手も含まれており、無意味ではないのは間違いないところです。

選手会としては、各球団にリスト提出をお願いする形ではなく、一軍出場試合数などで一定の条件を満たさない選手なら指名可能になるという制度を目指している(僕も同様の意見です)とのことですが、まずは実施することのほうが優先とのことです。

3.みしマンの見解

ここまでは情報紹介であります。ここまで読んでくださった方は少なからず、「お前はどう思ってるのか」という視点を持ってくださっていることでしょうから、そのことについて書いていきたいと思います。

僕個人としましては、球団の提出リストが支配下登録の中から5人以上であれば、まずまず期待できると感じています。ここ数年のNPBのレベル向上はすさまじく、戦力外選手にもかなり意外な名前が紛れ込み、しかも彼らの行き先が(育成契約を含めても)なかなか無いという状況になっています。それぐらい、支配下選手たちはハイレベルです。

戦力外通告を終え、保留者名簿が提出されて以降に5名(以上)を選ぶとなれば、そこまで要らない名前ばかりになるとは考えにくく、11球団もあるのであれば、こういう選手が欲しい!という名前が入ってくる可能性は高いでしょう。トレードで欲しくても応じてくれるか分からないですが、指名という形なら拒否されることもなく、見返りとしての選手や金銭を用意する必要もありません。12月~翌年1月ならキャンプイン前なので、新チームにも溶け込みやすいと思います。

問題点としては、結局のところ任意なので、人的補償のプロテクトリストを作る際と似たような傾向となるように思います。具体的には、アマチュア球界で有名な学校出身の選手が優先的に守られそうな一方、あまり有名な学校ではない選手がリストに入りがちになるのでは、と予想されます。その点に関しては今後、一軍出場試合数などが条件となってきた際にクリアされていくことに期待したいと思います。

と、具体例を考えずに感想を述べてもリアリティがないですから、試しに、広島東洋カープの現時点でのメンバーを見て、勝手に5人を選んでみようと思います。

支配下(日本人)選手の中から5名を選んでみましたが、主に二軍で投げている(リリーフ)投手ばかり5人の名前が候補選手として選ばれるのではと思いました(実名を挙げようか、とも思いましたがさすがに自重します)。

選んでみて思いましたが、抜けても代替がまだ効きやすい、(リリーフ)投手に偏りそうな気がします。任意で選ぶ場合、おそらくは多くの球団が、投手>野手というリスト構成になるのではないか、と予想されますので、ここがネックと言えばネックでしょう。

ドラフト会議に与える影響についても考えましたが、仮にリストの中身が二軍リリーフ陣で埋まるとしたら、ほとんど影響を与えることはないでしょう。ドラフトでリリーフ専任の投手が指名されるケースはかなり減っています(今年はまだ多い方でした)。ドラフトに影響が生じるとしたら、野手がもっと移籍可能選手になってきて以降でしょう。

おつかれさまでした!

今回は、現役ドラフトについて、所見をまとめさせていただきました。個人的には、現段階の案にもまずまず満足はしつつ、今後のルール変更に期待したいと思います。正式に決まるとしたらいつごろになるのか分かりませんが、選手会がさまざまな困難がありつつも検討を続けてきた制度ですし、彼らの努力を足蹴にするようなことはしたくありません。

次回は年末年始のどこかで投稿できれば、と思っています。どれだけの方々が待ってくださっているのか分かりませんが、準備を進めていきます。それでは、次のnoteでお会いいたしたしましょう。

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