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1998 ~ 2024         11

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

11
そのペンダントをもらった日は終わりではなくて始まりだった。
 
全てが後悔の波となって何度も何度も私に向かってきては強くえぐるように後悔を復唱させた。それが過ぎると逝ってしまった彼に対して怒りのような気持が私自身を納得させるようになり責任転嫁のような罪悪感に終わる。そして憐みのような物凄い悲しみが襲い掛かって我に返る。起こってしまったことは変えられないし元に戻ることはないという当たり前なことに気づく。誰かに罵声を浴びさせられるように、顔を地面に押し付けられるように光が見えないほどの深いあなの底に突き落とされたような絶望に落ちいる。これを終わりなく繰り返す日々が果てしなく続いた。誰に何をどの様に話したら期待した慰めがもらえただろうか。誰の言葉も私に届くことはなく全てのドアを閉めた。意味のない ”もし“ が私の思考を一歩通行にして気が狂ったように泣いて泣いた。終わりがなくどう終わりにすればいいのかもわからなくなっていた。
泣き疲れて眠り、目が覚める。この時が一番つらい時だった。そして眠る前に目が覚めないことを願うようになる。彼がもういないこの世の中に目覚める意味がないように思うようになる。ただもう一度会いたいだけなのだと思うようになる。
彼と話した最後の電話の後を想像して死んでしまいたいと思った。

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