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僕の好きなアジア映画98: 梟ーフクロウー
『梟ーフクロウー』
2022年/韓国/原題:올빼미/118分
監督:アン・テジン(안태진)
出演:リュ・ジュンヨル(류준열)、ユ・ヘジン(유해진)、チェ・ムソン(최무성)、チョ・ソンハ(조성하)、パク・ミョンフン(박명훈)、キム・ソンチョル(김성철)、チョ・ユンソ(조윤서)
韓国のドラマでもよくその背景として用いられる朝鮮王朝の歴史的事件に「丙子の乱」があります。本作でもその事件の頃を時代背景としています。「丙子の乱」とは、
丙子の乱(へいしのらん)は、1636年から1637年にかけて、清が李氏朝鮮に侵略して、制圧して服属させた戦争。17世紀初め、明が衰え、後金が台頭。1627年、後金は親明的な政策をとっていた朝鮮に侵入・制圧し、後金を兄、朝鮮を弟とすることなどを定めた和議を結んだ。
つまり朝鮮が清の属国となった屈辱的な事件であり、時の王仁祖は世子(世継ぎ)を人質として瀋陽に送らざるを得なかった。人質となった昭顕世子は、8年後解放され帰国したが、仁祖は世子が清の間者であるという疑念を抱いていた。世子は帰国後ほんの2ヶ月後に急死。その死に様から死因は毒殺が疑われたのであった。
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この辺りの史実はいまだに謎を孕んだものであり、仁祖による毒殺であった疑いも濃いため、多くのドラマにも取り上げられていて、僕もこの周辺を題材としたドラマを三つ四つは観ていると思う。
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本作はこの史実の謎の部分をを独創的に解釈し、斬新な物語を作り上げた傑作サスペンスである。ネタバレになるので多くは書けませんが、主人公は盲目の鍼灸師で、昼は全くの盲目だが暗闇では少し視力がある。わずかに見えちゃう。それがこの映画の設定の肝である。
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役者が素晴らしい。主役のリュ・ジュンヨルはもとより、ユ・ヘジン、チェ・ムソン、チョ・ソンハ、パク・ミョンフンなど、韓国の層の厚い演技者たちが脇を固めている。これがこの映画を重厚な作品にしているように思う。
最後までノンストップでスリリングな展開が続き、飽くことがない。ただ一つだけ文句を言わせていただけば、最後に主人公が斬首寸前で刑をまぬがれ(執行人が勝手にやめちゃう?)、さらには数年後には王に復讐を果たしちゃうのはちと調子が良すぎませんか。あのまま首を切られて理不尽に死んでいく不条理の方が話の筋として僕は好きです。
本作のポスタービジュアルは圧倒的に日本版のデザインの方がよいのですが、それでもまだ無駄なコピーはなんとかなりませんか。右側の縦書きのコピーなんかまったく無用、意味不明です。ちなみにこのショッキングなビジュアルは実際に本編で使用された場面です。
百想芸術大賞 映画部門作品賞、百想芸術大賞映画部門男性最優秀演技賞、青龍映画賞最優秀新人監督賞、百想芸術大賞 映画部門新人監督賞など
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