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僕の好きなアジア映画101: 7番房の奇跡

『7番房の奇跡』
2013年/韓国/原題:7번방의 선물/127分
監督:イ・ファンギョン(이환경)
出演:リュ・スンリョン(류승룡)、パク・シネ(박신혜)、カル・ソウォン(갈소원)、オ・ダルス(오달수)、パク・ウォンサン(박원상)、キム・ジョンテ(김종태)、チョン・マンシク(정만식)、キム・ギチョン(김기천)、パク・キルス(박길수)、チョ・ジェユン(조재윤)


この映画、僕があまり好きではない、いわゆる「感動作」と評されることが多いので長らく敬遠していたのである。でもまあ大好きなパク・シネだし、というさもしい動機で観たのだった。いざ観始めると今度は子役が長時間でるようなので、これもちょっとやばいと思い出した。なぜなら僕は子役が出てくると、常に早く大人の場面になるように願うくらい、子役が長時間出る作品は苦手なのだ。子役の芝居に耐えられないから。

ところが困ったことに(困ることもないのだが)、この子役が抜群である。子役を可愛いとか、芝居が上手いとか滅多に感じることのない僕がこの子役、カル・ソウォンには惚れ込んでしまった。

表情があどけない。

可愛らしいこともさることながら、演技が抜群に上手い。

演技が自然。

極端に言って仕舞えば、この映画の魅力のほとんどはこの子が担っていると思う。このカル・ソウォン、現在では17歳。美しく成長している。

最近のカル・ソウォン

ストーリーは韓国で実際にあった事件をモチーフにしているそうだ。知的障害者の父親が、警察の恣意的な怠慢で殺人の冤罪を着せられてしまう。しかしこれはおそらく実際にはなかった事だと思うが、刑務所長の取り計らいでこの幼い娘も刑務所のなかで父や同房の囚人達と過ごすことになる。脇を固めるのは韓国の実力のある俳優たち。相変わらず皆さん素晴らしい演技なのだが、彼らも芝居抜きでこの娘の様子に目を細めているように見える。

冤罪の対象となる知的障害の父親役にドラマ『ムービング』などのリュ・スンリョン。被害者の父である警察署長に脅され、結局娘のために罪を認め死刑になる。幅広い役を演じる役者だが、本作ではちょっと芝居があざとい気もする(笑)。

成長して弁護士となり、亡き父の無罪を勝ち取る娘役に、本当はこの人目当てで見たパク・シネ。出演時間は長くない。

カル・ソウォンの無邪気な可愛らしさや、ファンタジー的要素のある展開、暖かい色調の映像、ほのぼのとした雰囲気で、実に悲惨で不条理で悲しい物語ではあるのだが、どこか絶望的な悲惨さを免れた、一種不思議な映画ともいえるかもしれない。今回は映画の感想というよりも、カル・ソウォン礼賛の記事になってしまった。文句あるか。

百想芸術大賞映画部門大賞、同女性人気賞、第50回大鐘賞主演男優賞、同脚本賞、第21回大韓民国文化芸能大賞映画部門大賞など。



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