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追悼、David Sanborn。

David Sanborn(デイヴィッド・サンボーンが亡くなった。僕たちの世代(結構年寄り)にとっては非常に残念なニュースだ。70年代後半から80年代、フュージョンやAORが全盛であった時代に、彼のサックスの音色は欠かせないものであった。

Sanbornのメロウなサックスは技術よりハート、魂のサックス、泣きのサックスであり、当時はお堅いジャズファンの心無い批評も多かった。確かに一本調子でフレーズもワン・パターンではあるのだが、僕は彼のサックスの音色に大いに魅了された。あの時代に、搾り出すように感情を煽ったSanbornの音がなかったら、音楽はずっと味気ないものだっただろうと思う。まさにワンアンドオンリーのサックス奏者だった。

今回はDavid Sanbornを偲んで、山ブラ会員・関係者に彼のオリジナルまたは参加したアルバムを一枚選んでいただいた。記事をいただいた順に掲載しています。実は今回の記事を募集してみて、Sanbornのオリジナルアルバムをしっかり聴いている人がさほど多くないということを知り、ややショックでもあった。時代かな。だから今回は参加してくれた方がいつもより少ない。でもまあ「Sanborn?知らん。」という若い人たちも、もちろんすでに沢山いるのだと思うので、この記事を機会としてぜひ聴いてみて欲しい。末尾にBiography、Discographyを付しました。

ご冥福を祈ります。


David Sanborn、この一枚



⭐️竹中俊二: ギタリスト、サウンドクリエイター、プロデューサー 

Inside / David Sanborn

サンボーンは1980年以降のアルバムは我が青春と言って良いくらい良く聴いた。 中でもアリスタレーベルの1981年のモントルージャズフェスティバルのライブアルバムCasino Lights は参加ミュージシャンも好きなアーティストばかりで聴きところ満載、楽曲、アレンジ、凡ゆる角度から沢山聴いたアルバムだが、今回挙げたのはサンボーンのリーダーアルバムInside は収録楽曲もプレイも好きだが、録音クオリティが非常に高く今だにオーディオチェック用に良く使用しているオススメの1枚。恐らく沢山聴いてるアルバムとして挙げさせて頂いた。


⭐️高橋悠: KAKULULU 店主

The Super Session II / David Sanborn & Friends

「デビッド・サンボーン」その名前はレコ屋の安箱フュージョンを漁っていたら嫌でも目につく。亡くなったということで、サンボーンのアルバムや参加曲を逆引きのように思い出そうとしても自分の中でなかなか出てこなくて笑ってしまった。なので、DVD「スーパー・セッションII 」を。名だたるミュージシャンを引き連れて美味しいところは逃がさない大味な「泣きのサックス」。この「大衆性」こそカリスマと呼べるのでは。


⭐️五内川真

Double Vision / BOB JAMES & DAVID SANBORN

サンボーンと言えばChicago Songのフレーズが真っ先に頭浮かびますが、一番聴いたアルバムならこれですね。なんとも言えない癒しパワーもあって何度聴いてもうっとりする曲ばかり。 当時、ケニーG、ボビーコールドウェルと並んで、カーステの常備アルバムでした。


⭐️廣瀬俊介:元東北芸術工科大学教員

ヤング・アメリカンズ / デヴィッド・ボウイ

1967年、ポール・バターフィールド・ブルーズ・バンドでデヴューしたデヴィッド・サンボーンは、フィラデルフィア発のソウル・ミュージックに惹かれたデヴィッド・ボウイがウィリー・ウィークス(EB)、アンディ・ニューマーク(Dr)らと同地で録音した1975年発表のソウル・アルバム「ヤング・アメリカンズ」に参加しています。サンボーンのアフリカ系北米人の音楽への傾慕が、ここでの好演にもにじみ出ていると感じます。


⭐️kirikiriのkei

the gil evans orchestra / the music of jimi hendrix

10代に初めて聴いたgil evans orch との演奏が一番印象に残っています 中でもangel, little wing等は40年以上経った今でも何回も聴き素晴らしさを再確認しています。


⭐️三友 敦之

Bobby Charles / Small town talk

本人名義では高校生時分に Back street を日々再生していた記憶があります。 多分・neither one of us もグラディスナイトよりこちらで先に知ったのかな? ですがここで挙げたいのは 愛するアルバムベスト50には 入れそうなこちらの一枚。 確か買った当時もクレジット見てサンボーンが参加しているのに意外な気がした記憶が朧気ながらあります。


⭐️Tetsuo Moriya

深町純 & ザ・ニューヨーク・オールスターズ・ライヴ

サンボーン自身のアルバムではない点は主旨からそれるようで大変恐縮の限りです。とはいえ、後に世界的スタープレイヤーとして名を馳せる説明不要の手練れのメンバーとともに、彼のベストとも言える珠玉のライブパフォーマンスを堪能できます。フュージョンというジャンルに嵌まりはじめ、数多聞き始めた1970年台後半中坊の頃に出遭った衝撃の1枚。サンボーンのアルバムを確り聴くことになっていくキッカケとなりました。


⭐️脇田洋二(時々シブヤモトマチ):コピーライター

Voyeur / David Sanborn

まともに聴いた盤はこの1枚のみ。しかし、死ぬほど聴いた。中でもM1の「Let’s Just Say Goodbye」は間違いなく200回は聴いた。ハマった理由は忘れた。が、イントロ4小節目のC#+9を聴くたび44年後の今も胸を撃ち抜かれる。マーカス・ミラーのスラップベースとバジー・フェイトンのブルージーなギターを従え、強く、細かいタンギングで華やかにマシンガントークを刻むサンボーンのアルトは永遠!


⭐️榎本善一郎:um(ウム)の人 @um_musica 、山ブラ東京支部事務局

As We Speak/David Sanborn

大学時代の音楽サークルの主流はフュージョンかジャパニーズ・ポップス(山下達郎)。日本のマーカス・ミラー青木智仁のボーヤをしていた先輩もまた慶應のマーカスでベース弾きの自分もアッシュボディのジャズべでチョッパーの練習に明け暮れる日々。マーカスが支えた80年代のソロ作品はどれも素晴らしくサンボーン節の名曲揃い。この作品のシンベとのコンビネーション含むベースのサウンド、Drのオマー・ハキムとの絡みは頂点の一つと思います。


⭐️佐藤琢雄:河北新報社

The Art of Tea/Michael Franks

大学生の時に下北沢の「珈琲・音楽・いーはとーぼ」で購入。上京したての東北人にとって、こんな名前の喫茶店には入らずにはいられない。そしてこの大名盤は僕の人生を変えたレコードの一つとなり、サンボーンを意識するきっかけともなりました。重心低くファンキーなMonkey See - Monkey Doと掉尾を飾る名バラードのMr.Blue。タイプの違うどちらの曲でも、鳴りはじめからギュッと胸を掴む吹きっぷりとフレーズでカタルシスへと誘ってくれます。


⭐️中原仁

Sleeping Gypsy / Michael Franks

ワンフレーズ聴けば分かる音色。フュージョン青年だった70's後半〜80's前半、サンボーンはマストでした。でもリーダー作よりソロでフィーチャーされた曲のほうが印象が強いのも事実。このアルバムの「Antonio's Song」のソロは永遠の名演です!


⭐️Hiroyuki Nakahata

Sleeping Gypsy / Michael Franks

1970年代後半、田舎町唯一のレコード店に洋盤は少なく、情報源と言えば雑誌。まだ季刊だったADLIB誌とNHKFMをエアチェックしたカセットを繰り返し聴いていたものだ。クロスオーバーイレブンで耳にしたデビッド・サンボーンは衝撃だった。初期のリーダー作からマーカス・ミラーとの共作頃までよく聴いた。しかしいまだ愛聴しているのは、マイケル・フランクス不朽の名作。これサンボーンの代表作でもある。


⭐️笠原将邦:元新星堂店長

LIGHT'N UP / 吉田美奈子

黄昏に流れてきたラジオ、サンボーンとの出会いはこのアルバムだったと思う。当時中学生だった私の横を一瞬で風のように過ぎて行った未だ見ぬ大人の世界の煌めきとほろ苦さ、彼のソロなしにはこの高揚感は感じ取ることはできなかっただろう。ビリー・ジョエルにおけるフィル・ウッズのように名曲に寄り添う名演でも今もある意味歌以上に欠かせない存在感を保ち続けている。そんな二人も既にこの世にいないとは実に悲しい。


⭐️gota

Vox Humana / Kenny Loggins (M9. Love Will Follow)

サンボーンはリーダー作より客演作をよく聴いたのですが、中でもケニー・ロギンスがフットルース大ヒットの勢いにのってリリースした(が、あまり売れなかった…)「Vox Humana」収録の"Love Will Follow"がたまらなく好きです。ケニーのファルセットから流れるように入ってくるサックスの美しさたるや。メロウなR&B系のミックステープなんかにそっと忍ばせておかれたら悶えます。


⭐️田仲 昌之:fete musique

CLOSE-UP / David Sanborn

自分にとってのサンボーン作品の1枚は、「CLOSE-UP」です。 10代のロックを貪り聴いた頃にハービーの「ROCK IT」から ジャズやフュージョンを知ってスクエア(当時、Tは、付いてなかったw) なんかを経由してサンボーンに辿りつきました。 乾いたバックトラックと情緒のあるサックスの音色が 当時の自分にとっては、とても大人なサウンドでしたw Youtube にもアップされていますが「Live Under The Sky」での パフォーマンスは、いま観ても最高に良いです。


⭐️Manabu Ishigooka:山形ブラジル音楽協会会長

Straight to The Heart / David Sanborn

サンボーンの公式ページの、バイオグラフィーの最後にこういう一文があります。

As a whole, Dave is an artist who pushes the limits and continues to make music that challenges the mind and goes Straight to The Heart.

「Straight to The Heart」という言葉が彼の音楽の全てを凝縮しています。その言葉をタイトルに冠した本作はサンボーンの黄金時代の「心に真っ直ぐ届く」ライブ音源です。


David Sanborn Biography

デイヴィッド・サンボーンは25枚のアルバムをリリースし、6つのグラミー賞を受賞し、8枚のゴールドアルバムと1枚のプラチナアルバムを獲得しています。数え切れないほどのミュージシャンに影響を与え、インストゥルメンタルポップ、R&Bに伝統的なジャズを組み合わせて活動してきました。1975年に最初のソロアルバム「Taking Off」をリリースしましたが、彼がハイスクールに通う前から、彼の故郷であるセントルイス近くの偉大なシカゴブルースアーティストに触発されてサックスを演奏していました。
3歳の時にポリオにかかり、治療の一環としてデイヴはサックスに触れました。14歳のときには、アルバート・キングやリトル・ミルトンなどの伝説的なミュージシャンと共演することができました。デイヴはノースウェスタン大学で音楽を学び、後にアイオワ大学に転校し、偉大なサクソフォーン奏者であるJRモンテローズと共演し、学びました。後に友人の助言でカリフォルニアに移り、バターフィールド・ブルース・バンドに加入し、ポール・バターフィールドとともにウッドストックで演奏しました。
その後、デイヴはスティーヴィー・ワンダーとツアーを行い、ワンダーのアルバム「Talking Book」に参加し、ローリング・ストーンズと共演し、デヴィッド・ボウイとツアーを行いました。彼はボウイと共に、「ヤング・アメリカンズ」で聞かれる有名なソロを録音しました。同時期に、デイヴは偉大なギル・エヴァンスとツアーを行い、両者の間で時間を分けていました。
ニューヨーク市に移り、ジョージ・コールマンと共に学び、後にポール・サイモンやジェームス・テイラーなどのアーティストとコラボレーションを始め、ソロキャリアをスタートさせました。1975年にリリースされたデイヴのソロアルバム「Taking Off」は、今もなおクラシックと見なされ、彼のキャリアをさらに固めました。1979年にリリースされた「Hideaway」は人気ヒットとなり、シングル「Seduction」が映画『アメリカン・ジゴロ』で特集され、デイヴの躍進をさらに推進しました。ベテランベーシスト兼作曲家のマーカス・ミラーが1981年のアルバム「Voyeur」でデイヴと共演しました。シングル「All I Need Is You」は、最優秀R&Bインストゥルメンタルパフォーマンス部門でデイヴに初のグラミー賞をもたらしました。1983年に、デイヴはルーサー・ヴァンドロスをフィーチャーしたヒットアルバム「Backstreet」をリリースしました。
デイヴは1988年から1990年まで「ナイト・ミュージック」をホストしました。サタデー・ナイト・ライブのクリエイターであるローン・マイケルズがプロデュースし、ジャズの伝説的なフィルム、セロニアス・モンク、デイブ・ブルーベック、ビリー・ホリデイなどが登場し、ソニー・ロリンズ、マイルス・デイヴィス、ジョー・サンプル、ファラオ・サンダースなどの注目すべきミュージシャンによるバンターや記憶に残る音楽ジャムが特集されました。また、デイヴはABCで定期的に「After New Year's Eve」のテレビ特番をホストしています。
1980年代から1990年代にかけて、デイブはシンジケート放送のラジオ番組『The Jazz Show with David Sanborn』をホストしました。また、デイブは『The Late Late Show with Tom Snyder』のテーマ曲や他のいくつかの曲も録音しました。2017年には、デイブは甥と義兄弟と協力して、新しい番組「Sanborn Sessions」を作成し、YouTubeで提供しています。現在、WBGO Studiosとのコラボレーションで、デイブは自身のポッドキャストシリーズ『As We Speak』をホストし、Sonny Rollins、Cécile McLorin Salvantなどの著名な音楽家をゲストに迎えています。

60年にわたるキャリアの中で、デイブは自身のジャンルで最も活動的なミュージシャンの一人であり続けています。全体として、デイブは限界を押し広げ、心を刺激し、心に直接訴えかける音楽を作り続けるアーティストです。

David Sanborn Official Pageより。

David Sanborn Discography (Original Albums)

Taking Off (1975年)
David Sanborn (1976年)
Promise Me the Moon (1977年)
Heart to Heart (1978年)
Hideaway (1979年)
Voyeur (1980年)
As We Speak (1981年)
Backstreet (1983年)
Straight to the Heart (1984年)
Double Vision (1986年) with Bob James
A Change of Heart (1987年)
Close-Up (1988年)
Another Hand (1991年)
Upfront (1992年)
The Best Of David Sanborn (1994年)
Hearsay (1994年)
Pearls (1995年)
Love Songs (1995年)
Songs from the Night Before (1996年)
Inside (1999年)
Timeagain (2003年)
Closer (2005年)
Sanborn Best ! Dreaming Girl (2008年)
Here and Gone (2008年)
Only Everything (2010年)
Then Again: The Anthology (2012年)
Quartette Humaine (2013年) with Bob James
Enjoy the View (2014年)with Bobby Hutcherson, Joey DeFrancesco
Time and the River (2015年)

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