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僕の好きなアジア映画23:ユ・ヨルの音楽アルバム

『ユ・ヨルの音楽アルバム』
2019年/韓国/原題:유열의 음악앨범
監督:チョン・ジウ(정지우)
出演:キム・ゴウン(김고은)、チョン・ヘイン(정해인)、パク・ヘジュン(박해준)

Netflixオリジナルの恋愛映画です。はたしてこれが劇場で普通に公開された作品だとしたら、僕は観に行っただろうか、という疑問はあります。どちらかといえばアート・ハウス系の映画を好む傾向のある僕としては、劇場まで行ってこういう良い意味で普通の、真っ当なラブストーリーを観に行く可能性ははあまりないかもしれません。

じゃあなんで観たのかといえばNetflixという気軽さもあるだろうし、キム・ゴウンやチョン・ヘインという、韓国ドラマでお馴染みの魅力的な俳優が出演しているということが大きいのです。率直に行って僕はキム・ゴウンのファンなので、彼女が出演していることが本作を観る実質的なモティベーションであることは否定しません。女性はきっとチョン・ヘインが見たくて観るのでしょうね(笑)。

キム・ゴウン
チョン・ヘイン

映画は、すれ違いを繰り返す1組のカップルの行く末を、ラジオから流れる音楽と共にノスタルジックに辿っていく、切ない物語です。『ユ・ヨルの音楽アルバム』は、実際にあったラジオ番組で、ユ・ヨルという歌手がDJを務め、この映画の冒頭の1994年に始まった、時代を象徴するラジオ番組なのだそうです。

キム・ゴウンは実に不思議な魅力を持った女優です。一重まぶたの彼女は、いわゆる美人という範疇に、一般的な基準からすれば入らないでしょう。しかし韓国には魅力的な一重まぶたの女優さんたちが何人もいて(他に『パラサイト』のパク・ソダム、『梨泰院クラス』のキム・ダミなど)、韓国のエンタメ・コンテンツを彩るアジアン・ビューティー的のな容貌として人気を集めています。そしてキム・ゴウンはその筆頭といって良い存在です。

ちなみに本作のチョン・ジウ監督はキム・ゴウンのデビュー作『ウンギョ 青い蜜(2012)』の監督でもあります。彼女はそれ以降7本(本作が8本目)の長編映画に主演し、『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』、『ザ・キング:永遠の君主』、『ユミの細胞たち』など多くの名作ドラマでも活躍中です。

決して華やかな容姿の女優ではないけれど、彼女の演技は常に自然で等身大で、その演技力には観るものを惹きつけるマジカルな磁力があります。いつの間にか彼女の演じる主人公に深く感情移入をしていて、この映画の最後の場面では、彼女をとても美しく感じている自分に気がつきます。なんか抗えない魅力のある女優なんです。この映画もそんなキム・ゴウンのための映画でした。


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