見出し画像

古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」について③〜裏地はつけない、という選択

古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」の立ち上げにあたり、
1)古作こぎん刺しの図案を刺す
2)形は、古作の良さが活きるぺたんこ系4パターンに絞る
を基本としたことは前回、前々回で書いた通りです。

そして、3つ目にこだわったのは「”裏”を大事にする」。

こぎん刺しは裏側が美しい刺繍です。布の横糸に沿って、刺繍糸を表、裏と行き来させて一段一段刺していくため、裏側には表側を反転させた模様が浮かび上がります。
裏側もきれいな模様が出るように刺すにはちょっとしたコツと、一手間というか一気遣いが必要なのですが、熟練した方ほど常に裏を気にしながら刺しているように思います。「裏もきれいね」は刺し手にとってはうれしいほめ言葉です。

同じ作品の表(上)と裏(下)。反転した模様が出ます

kosakuでは、ぜひ、このこぎん刺しらしさが表れる裏も見てもらいたい、と思いました。バッグの中を覗いたとき、きれいな裏模様がチラッと見えてうれしい気持ちになってほしい。
そこで、基本のショルダートートと小さい手さげはあえて内布(裏地)をつけないことにしました。
内布をつけなければ強度は劣ります。帆布のトートやナイロンのリュックのようにはいきません。
でも、実証例はありました。私が8年以上愛用している自作のバッグも内布なしですが、くったりした味わいこそ出てきたものの、今も問題なく使えています。
そもそもこぎん刺しは、麻布の強度を高める意図もあり生まれたものです。こぎん刺しのルーツに敬意を表し、総刺し(布全面にびっしり刺しこと)の古作の良さを活かす上でも、内布なしが自然な流れでした。

向こうが透けて見える麻布も、糸を刺した部分はふっくらと厚みのある布になります
独学でこぎん刺しを始めた頃に作ったトート。内布なしでも今なお健在!

裏を見せるための、私の刺し方やこだわりについては、いつか別の回で詳しくご説明できればと思っています。

裏が主役になったバッグも誕生

基本のショルダートートでは、裏が主役になった作品も誕生しました。
こぎんを刺す方の多くはひとの作品を見るとき、許されれば裏を見ようとするクセがあります。こぎん好きには「裏模様好き」が少なくありません。
私がkosakuの参考作品を作っているときのこと、通っているこぎん刺し講座の山端家昌先生やお仲間の皆さんはやはり裏に注目し、「裏がいい」「いや、むしろ裏がいい」などとさんざんおだててくださいました。
それで、「ならば、裏を表にしてみるか」と作ったのがこちら。

第2回の記事で紹介したショルダートートの裏模様バージョンです。発表会・即売会での注目度も高く、kosakuご購入第一号がこのトート。こちらを念頭に置いたオーダーも入りました。

裏を表にしても成立するものと難しいもの、内布をつけないバッグの図案として向くものと向かないものはあります。その辺りのお話は、またいつか。


Instagramでもkosakuを紹介しています
kosakuの商品概要やオーダーについてはHPをご覧ください


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?