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押し付けと私

この話は少し前にSNSでした話なのですが、オタクや趣味にかかわる話だけれど、同人サークルでの話ではないので、私の話として改めてまとめてみました。


因みに思い出す度に、いまだに胸がきゅっと締め付けられる、何とも後味の悪い話です。



トイカメラ

あれは私がまだ学生だった頃。

その時、トイカメラ(おもちゃのカメラだけれど実際にフィルム撮影ができるカメラ)が流行っていました。


流行り具合としては、おしゃれ雑誌に特集が組まれたり、駅前の本屋のレジ横に専用棚ができたりで、私は今も当時もカメラは全くの門外漢でしたが、トイカメラを目にした時、何かそのチープさと手軽さが琴線に触れて、たまたま出先で目にした、見た目が好みのトイカメラを衝動買いしました。

それは確か二千円くらいの、本当にちっちゃなカメラでした。

でもちっちゃなカメラでも一丁前にシャッターが切れて、フィルムをジーゴジーゴと手巻きする感じが楽しくて、何となくそのカメラをカバンに入れて持ち歩く習慣がつきました。



で、そんなトイカメラを持ち歩いていたある日、当時同じ学校に通っていた同級生たちと集まってカフェでお茶してたのですが、食べていたケーキを撮影しようと私がカバンからトイカメラを取り出した所、同級生の一人のAさんから「それトイカメラ?」と声かけられました。


そこで私が「うん」と答える前に、Aさんによるトイカメラ批判が始まりました。


急に始まる批判

まず「貸して」と言われずに、私の持っていたトイカメラはAさんに引ったくられました。


私がびっくりしていると、Aさんから「このレンズなに?こんな構造でまともな写真が撮れると?ちょっといくらしたの?はあー(溜息)まともな写真撮りたかったらこれくらい買いなよ?」と一息に捲し立てられました。


後で別の同級生伝手に教えて貰って知ったのですが、Aさんはカメラマン志望だったらしいです。

何と言うか要はカメラを愛してる人だったそうです。

そんなAさんからすると、カメラに全く門外漢の私が、Aさん視点で無価値なクズカメラを持っているのが赦せなかったらしく、よかれと思ってあれこれ話して聞かせた後に「これくらい買いなよ?」とまともなカメラを教えてくれたらしいのですが、そんなの私知りませんよね???


(因みにこの経緯も、後日Aさんのカメラマン志望の話を教えてくれた同級生が、あの時実はと教えてくれたから判っただけで、当時はまじ知らんがなってなりました)



そんな訳で、当時はそんな経緯を一切知らない私は、いきなりの事に呆然、何ならワイワイとしていた同級生の集まりは、Aさんの独壇に思わずシーンとなってしましました。


しかしAさん当人は気付いておらず、携帯電話(Notスマホ)で何やら検索して出した高そうなカメラの画面で私に見せて「まともな写真撮りたかったらこれくらい買いなよ?(溜息)」と言う行動に至りました。


私はもう何か言葉がでなくて、取り敢えずAさんにひったくられたトイカメラを返して貰うと、その場を何とかやり過ごし、帰宅しました。


Aさんとは同級生でその後も付き合いは多少ありましたが、卒業後は没交渉でそれきりになりました。

今は何をしているか知りません。




その後の話。

そのAさんとの一件以来、私はトイカメラでの撮影が楽しくなくなりました。

あんなに毎日持ち歩いていたのに、何か持ち歩く事すらなくなって、惰性で撮影していました。

そしてフィルムがなくなったので、取り敢えず街のカメラ屋さんに現像に出しました。

出来上がった写真を確認すると、ピンボケだったり、薄暗かったり、確かにAさんの言う通り、出来が良い写真ではありませんでした。


何かこう、撮影していた時は本当に楽しかった筈なのに、Aさんの言葉のせいで何が楽しかったのかとなってしまって、その写真も現像の用紙にそのまま入れっぱなしで、引っ越しの時に処分してそれきりでした。


これは本当に、今も思い出しても胸がきゅっとなります。




そんな事があったので、私はカメラ自体に興味がなくなりました。

当時はトイカメラ以外にも、一応デジカメも持っていたのですが、そのデジカメも壊れたのを気に手放しました。

あれから十数年、今でこそ、スマホのカメラアプリが普通になり、スマホで写真撮るのを楽しめるようになりましたが、それまでの長い間、私は本当にカメラで写真を撮る事に興味が持てなかったです。



とまあ、だらだらと長く話しましたが、何が言いたいかったかと言いますと、色んな趣味が世の中たくさんありますが、その趣味に対して無知な人はいますし、にわか勢だってたくさんいます。


玄人やオタクがそんな人たちを批判するのは容易い事ですが「だからって何事にも言い方ってあるよね?」って話でした。


このAさんとの一件から、私も異文化交流時に、相手に変な言い方をしていないかとかなり気をつけるようにしています。
そして未だにふと思い出して、胸がきゅっと締め付けられる思いです。

しかしこう言う体験があるからこそ、私自身こういう事を周りにしていないか?と振り返えり、こんな思いをするのは私だけでいいからってなります。

だからオタクのみなさん、オタクじゃなくても何か趣味を持っているみなさん、新規さんやにわかな人には、優しくしましょう。  

そんな何とも後味の悪い話でした。




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