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ぶっちー先生の生き物教室オンライン講座開催します

 オンラインふくろうぶんこでは、現在公教育では足りていない領域の学びに焦点を当てて講座の企画をしている。そして、今月末に予定しているのはどうぶつ科学コミュニケーターの大渕希郷先生(おおぶち・まさと先生/以下ぶっちー先生)をお招きしての生き物教室である。12月20日に第一回目「生き物を求めて東へ西へ」、年明け2月28日には第二回「ヘビに足がある?蛇足の話」と、テーマを分けて2回お話を伺うことになっている。

 そもそもぶっちー先生の肩書にある「どうぶつ科学コミュニケーター」って一体何なのか?耳慣れない言葉だけれども、それもそのはず。「どうぶつ科学コミュニケーター」という職業は、ぶっちー先生が生み出した新しい職業だからだ。ぶっちー先生の本当に楽しいwebコラム「動物ふしぎ観察記」や先生の地元フリーペーパー「ぽちっト神戸」の特集で、ぶっちー先生自らその職業についてご紹介して下さっているが、「どうぶつ」と、科学に関する対話である「科学コミュニケーション」を融合させて「どうぶつ科学コミュニケーター」なのだそう。科学コミュニケーションそのものもまだ広く認知されていないけれども、文部科学省のページではそれをこのように説明している。

サイエンスコミュニケーションは、科学のおもしろさや科学技術(ぎじゅつ)をめぐる課題を人々へ伝え、ともに考え、意識を高めることを目指した活動です。研究成果を人々に紹介するだけでなく、その課題や研究が社会に及(およ)ぼす影響(えいきょう)をいっしょに考えて理解(りかい)を深めることが大切です。科学館や研究機関などでは、サイエンスカフェや一般(いっぱん)公開など様々な試みを行っています。
~文部科学省 サイエンスコミュニケーションとは?
https://www.mext.go.jp/kids/find/kagaku/mext_0005.html

 なるほど。おそらく科学コミュニケーションというのは知識の(一方的な)伝授ではなく、知識をシェアした上で「ともに考える」ことに力点が置かれているのだな。ぶっちー先生もコラムで、科学コミュニケーターの役割を次のように規定している。

科学コミュニケーターの役割は、一般市民(非専門家)に科学知識よりも科学的考え方・捉え方を共有し、「科学リテラシー」を持ってもらうこと。そのうえで、専門家と対話する場づくりをし、専門家と非専門家が様々な課題の解決の道を模索、合意形成するものです。
~動物ふしぎ観察記「動物の70%以上は昆虫なんです! どうぶつ科学コミュニケーターが知ってほしい自然界のリアル 」
https://yomitai.jp/series/animal/01-ohbuchi/

先生がどうぶつ科学コミュニケーターを始めた経緯は、ぽちっト神戸の特集に詳しい。
http://pochitto-nishisuzu.com/page/topics/22.php

 私はこれを読んで、「この役割、重要すぎる!ていうか、学校の先生みんな科学コミュニケーター的であるべきでは?」などとコーフン気味に思った。覚えたこと(知識)をただ書くだけのテストでよい点をとることを目指すよりも、身近なことに関心を持って、科学的に考え、人々と共有し、課題解決をはかっていく態度を養うことのほうが(教育上)断然大事だと思う。例えば直近でいったら「covid19流行下でのマスク着用について」なんていうテーマで、いくらでも教室で対話できるんじゃないかと思うのだ。「感染予防のためにマスクをしましょう」が「マナー」になるのではなく、ウイルスとは何か?このウイルスの特徴は何なのか?感染経路は?それを踏まえた上での有効な対策とは?どういうシーンではマスク必須?マスクがしんどい人がマスク着用に優先順位をつけるとしたら?と「科学的に」考えて対策をみんなでシェアできることを目指して欲しいと思う。教室が、そういう思考のスタイル、態度としての科学リテラシーを学ぶ場であったらいいのになぁ。

※ぽちっト神戸でも連載をされていて、ウイルスなどの感染症についても警鐘を鳴らしている。
http://pochitto-nishisuzu.com/page/animal/7.php

 そんな重要な役割を切り拓いていかれているぶっちー先生がご専門にされているのは科学の中でも「どうぶつ」(両生爬虫類を中心として哺乳類、魚類、昆虫、微生物、植物まで幅広く扱っている)で、上野動物園の飼育展示スタッフ、日本科学未来館の科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センターの教員、日本モンキーセンターの学芸員などのお仕事をされてこられたとのこと。そして現在はどうぶつ科学コミュニケーターとして書籍のご執筆や、テレビ番組のご出演や監修、講演やワークショップの講師のお仕事と幅広くご活躍されている。さらにコラムによると、ヘビ17頭、トカゲ22頭、カメ5頭、両生類11頭、サソリ多数、クワガタ多数、魚類……と一緒に暮らしておられるそう!わーお!リアルあつ森!!とワクワクを抑えきれないワタクシです。ぶっちー先生によるあつ森博物館ツアーなんかあったら、絶対参加する!!という妄想さえ広がる・・・

 なんて話がそれてしまったが、ぶっちー先生のご活動に通底している(ように私が感じている)のは、動物の魅力や不思議さ、面白さを切り口に(入口にして)、その背後にあるものへ眼差しを向けるよう(我々に)促して下さっていることなんじゃないかな、と思っている。私たち人間を含めて生きものたちはみな、それ単体として存在しているのではなく、自然環境や社会の中の関係性の中で生きている。生き物たちが今現在「そのようにある」のは、そうした関係性の中においてであるゆえ、生きものたちの「ありよう」がその関係性を照らし出す・・・そしてそこには環境問題であったり、社会的な課題が見いだせるはずである。「動物って不思議だね!面白いね!」の先に連なるのは、その関係性の中における「当事者」として私たちが直面する課題ではないだろうか。「その先に連なるもの」へ自然と眼差しが向くような、そんな素敵なコラムをぜひ講座ご参加をお考え下さっている方には読んで頂きたいなぁと思っている。

ぶっちー先生の「動物ふしぎ観察記」はこちら
https://yomitai.jp/series/animal/


 ところで少し話は変わるのだが、このちんまりnoteで一番よく読まれているのは、なんと「虫嫌いに冷たくしないで」というタイトルの、「虫が苦手であった」という現象を考察した記事である。どこでどういうふうに読まれているのか全くナゾであるが、6000viewを超えていてビックリする。・・・というのはどうでもいいのだけれど、その記事では、私と虫たちとの関係性の変化について書いた。都会のマンション育ちの私は「虫がいない」環境がデフォルトであったので、異物というか他者(≒よく分からないもの)としての「虫」はかつて恐怖の対象だった。しかしこのnoteで何度も告白しているように、断乳後プチ鬱状態になった私は、自然豊かな義実家に数か月に渡ってお世話になり(≒虫がいるのがデフォルトの環境になり)、その間に虫たちと平和な関係性を築くことができるようになったのである。その過程の詳細についてはこちらの記事を読んで頂けると嬉しいのだけれども、とにかくその時に痛感したのは、「もっと早くに、虫たちと幸福な出会い方をしたかったよなぁ。」ということだった。母親がキャアキャア言いながら虫を退治する環境なんかじゃなくて、虫(だけではなく生き物全般そうだけど)に敬意を払っている大人と一緒に安心しながら虫たちと出会いたかった。そんな幸福な出会い方を全子どもにして欲しいと願ってやまないし、きっとぶっちー先生はそんな出会い方ができるための橋渡しをしてくださるんじゃないかなぁと思っている。

 梟文庫でこれまでワークショップをして下さってきた講師の先生がたも、自然科学だったり、手芸クラフトだったり、和菓子だったりと入り口は違っているが、同じようにそれぞれとの幸福な出会いを、その機会を作って下さっていた。何かを心から好きだ、面白い!と思い、大人自身がワクワクしていることは、子どもたちにも必ず伝わる。そんな大人たちからワクワクを受け取り、知的好奇心を刺激されて、子どもたち自身が世界を広げていけたら、どんなにいいだろう。ぶっちー先生はコラムで、世界の見え方を変えることによって「自然に対する解像度を上げていきましょう」と呼び掛けて下さっているが、学ぶとはすなわち「解像度を上げること」だなぁとしみじみと思った。私がミツバチとスズメバチを同等に警戒していた世界の解像度は、おっそろしく低かったんだよな・・・でも出会い直しもできるし、いつだって、いつからだって、解像度はあげていけるんだと信じている。

 ぜひその機会のひとつとして、ぶっちー先生の生きもの教室オンライン講座にご参加ください!お待ちしていまーす。

 ぶっちー先生の講座概要は下記の通りです。

「ぶっちーの生きもの教室①生き物を求めて東へ西へ」

動物園、科学館、大学、博物館で働き、いろんな姿かたち、能力を持ったいろんな生き物に関わってきたぶっちー。そんなぶっちーと一緒に、ふしぎな生き物たちのふしぎにせまります。

1回目「生き物を求めて東へ西へ」12月20日
 ぶっちーはいろんな場所でいろんな生き物に出会ってきました。生き物の姿かたちには必ず理由があります。いろんな生き物を紹介しながら、その理由について一緒に考えます。

大渕希郷のホームページ
http://m-ohbuchi.com/

日時:1回目12月20日(日)14:00-15:00 
対象:小学生以上
場所:zoom(オンライン)
参加費:500円
※未就園児さんと一緒にご視聴の場合は、「大人」枠でお申込みください。

お申込み開始:1回目の講座は11月1日(日)より開始(先着順)
お申込み方法:
①お申込みフォーム(お申込み後、メールにてお支払い方法をお知らせします)
https://forms.gle/mKccDKyYp9oV44j76

②peatix
https://onlinefukuroubunko-bucchi1.peatix.com/

​※peatixからのお申込みにはアプリのダウンロード等が必要になります。詳しくはこちら。
https://peatix.com/

お支払い方法:
①お申込みフォームから:ゆうちょ銀行への振込・梟文庫で直接支払い
②peatixから:クレジットカード・コンビニエンスストア・ATM

イベント詳細は梟文庫ホームページをご覧ください。
https://www.fukuroubunko.com/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E5%AD%90%E…


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