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新しい学びの場をつくる

 分かってはいたことだけれども・・・
全国的にも、京都府内でも、新型コロナウィルス感染者数がどんどん増えていっている。京都市の感染者数のデータを見てみると、状況は緊急事態宣言が出た当初よりも悪化していて、再び「梟文庫をどうするべきか」悶々と考え続けている。前回休館を決めた時ほど潔くなれないのは、やはり周囲がロックダウンしていない状況での休館にどれだけの効果があるのか分からないということと、たとえ細々とであっても「場所として開いている」ことの意味を日々感じているからである。状況をよくみながら、密集しない工夫をしつつ、今週末はひとまず開館することに決めたのだが・・・これでいいのだろうかという不安は決して払拭されない。

 リアルな場での出会い、ワクワクする学びや体験。
梟文庫が開館より4年間大事に手渡してきたそれらが途絶えてしまい、かつそれがいつ再開できるか見通しも立たないという状況は、実のところ私自身が想定していたよりも私自身の気持ちを塞いだ。正直にお話すると、今も普段の元気の半分くらいしかないというのが自分の体感だったりする。でもこれまで大事に思って続けてきたことを、別のできる形でなんとかできないだろうかと「オンラインふくろうぶんこ」を立ち上げ、ハングアウトで交流をしたり、zoomでお楽しみの会などをしてきた。新しい出会いもあったり、リアルとはまた違った可能性もあったりしたので、今後も試行錯誤しながら運営を続けていきたいと思っている。

 そしてこの「オンラインふくろうぶんこ」に、もう一つ大きな機能を加えることになった。それは、「新しい学びの場」である。どのような学びの場を想定しているのかというと、現在の公教育では足りない領域の学びをテーマに選んで講師をお招きし、zoomなどのオンライン会議ツールでワークショップや講演会を開催するのである。実はすでにこの事業は「北区民まちづくり提案支援事業」に申請して採択されており、いくつかのテーマで講師の先生がたに依頼し、現在3つのテーマは講座開催が決定している。内容については準備が整い次第順次公開していくので、ぜひぜひ楽しみにしていてください。(梟文庫会員以外の方もお申込み可です。)

 ところでこの「現在の公教育では足りない領域の学び」って一体なんだろう?と、多くの方が疑問に思われるかもしれない。たとえば昨年度は「性教育」をテーマにアクロストンさんを講師にお招きしたのだが、「性」に関しても公教育では子どもたちに十分な知識が伝えられていないのが現状である。そのため科学的に正しい性の知識を子どもたちに伝える活動を展開している医師のご夫婦アクロストンさんをお招きして、工作を取り入れたワークショップをして頂いた。子どもたちが「科学的に正しい知識を得る」ことが何よりも大切になってくるのは、その知識に基づいて自らの振る舞い(行動)を「選択」するからであり、「選択」する素地の部分(知識)が間違っていたら元も子もないのである。「こうしろ」「ああしろ」という行動の規範を最初に示すのではなく、なぜそうするのかということを「自分で考えて選択する」ための元手になる正しい知識をまず子どもたちに手渡す。そのような学びの形をワークショップに取り入れているアクロストンさんのご活動に心から共感し、講師をお願いさせて頂いたのだった。※アクロストンさんにして頂いたワークショップのレポはこちら

 こうした学びが必要な領域は性教育に限らず、実は多岐にわたっているのではないかと私は考えてきた。人権(権利)教育、シティズンシップ教育(主権者教育)、デジタルシティズンシップ教育、お金の教育(金融教育・社会保障制度についての教育)、対話の経験など、市民として他者とともに生きていく上で欠かせない大事なことを学ぶ機会が公教育の中であまりないのではないかと危惧を抱いている。そのため、全てを一気に網羅することはできないが、今後3年間助成を受けることができるので、少しずつこういった領域の学びの機会をオンライン上で持ちたいと考えている。

 変化の激しいこの時代の中で、子どもたちはおそらく生涯学んでいかなければならないだろうと思う。だからこれからを生きる子どもたちにとって何より必要な力は、自ら学ぶ力(構え)であり、自分に必要な学びを求め、かつそれが得られる場所を探し出せる力なんではないだろうか。その力はおそらくそう遠くないうちに学びリテラシー、学習リテラシーなんて呼ばれるような、人の基礎的な力に位置付けられていくんじゃないかとさえ思っている。そしてその力は何のためにあるのかというと、理想を語るとするならば、誰もが安心してその人らしく生活できるよりよい社会の構築のために、違いのある他者と対話し、協力し、自分にできることを差し出せるため、であると思う。そういう市民への成熟を目指す学びの場にしていきたいと願っている。

 青臭い理想だと、笑わば笑え。
自分、できてんの?と冷笑されたら、できてねーよと胸はって答えマス。

 いいんだよ。
大人だってこの変化の激しい時代を生きてるんだ。
子どもたちと、若い人たちと一緒に、大人も学び続けよう。

 ということで、もちろん「オンラインふくろうぶんこ」の講座は大人も参加できるものがあるし、以前にこちらでご案内した「ラクエストオンライン」では現在教育に関わることの情報交換をLINEのオープンチャットで行っている。梟文庫の活動趣旨にご賛同頂いて会員登録をして下さった方であればご参加可能なので、ご遠方の方でもよかったらご検討ください。こんな記事があるよーとリンクをシェアしたり、他団体のワークショップやイベント情報をシェアしたり、学習や学習支援教材の紹介をしたりしている。リンクの情報は、chromeの拡張機能「raindrop」を使ってブックマークのシェアもしているので、過去の情報もタグで検索可能にしている。便利な機能はどんどん使って、大人も新しいことを楽しみながら学んでいきましょう。お問い合わせは、梟文庫まで。fukuroubunko.kyoto@gmail.com ※@は半角に直してください。

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