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アクロストンさんのオンライン講座開催します①

梟文庫(ふくろうぶんこ)
いろんなことをしている図書館。

 多様な学びの場、交流の場となることを願ってワークショップやイベントを定期的に開催してきたが、コロナ禍でその営みはほとんどできなくなってしまった。それでも今まで大事に思って取り組んできたことを「いま、できる形で」続けたいと考え、オンラインでの学びの場「オンラインふくろうぶんこ」をスタートすることにした。その第一弾は以前にもnoteでご案内したが、哲学研究者の山森裕毅さんを講師にお迎えしてのオンライン「こども哲学カフェ」。続く第二弾は、子どもたちに性教育ワークショップを展開している医師のご夫婦ユニット「アクロストン」さんのHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)に関するオンライン講座である。「ワクチンでがんが防げるってすごくない?今こそHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の話をしよう」と題して、主に接種対象にあたる中高生とその保護者の方々に向けてお話いただくことになっている。

 ところでアクロストンさんといえば!
昨年のちょうど今頃、私から「ぜひに!!梟文庫で!!!」と(熱烈な気持ちで)お願いをして、小学生以上を対象に性教育のワークショップをして頂いた。工作という形で実際に手を動かしながら、性に関わる科学的・医学的に正しい知識を丁寧かつ分かりやすく子どもたちに伝えるワークショップの素晴らしさは何度でも語りたくなっちゃうのだけれども、去年レポとして書いた記事があるのでぜひお読み頂きたい。自分でも読み返してみたら、アクロストンさん大好き!感と、すごい!すごすぎる!!という感動に埋め尽くされているけれども、1ミリも誇張してないの、事実なのこれすべて・・・「正しい知識をありのままに伝えると、子どもたちはそれをすっと受け取ってくれるんだなぁ!」私自身の中に芽生えた、子どもたちが持つ力への敬意を今でもありありと思い出せるし、子どもたちを信じて言葉を紡ぐアクロストンさんを前に背筋が伸びる思いがしたものだった。「子どもたちは理解できる。(子どもたちを)侮辱するな。」(鬼滅沼より煉獄さん)なんだよね、ほんとに・・・子どもは理解できないなんて馬鹿にしちゃいけないし、そんな振る舞いは子どもの「知る」権利を奪っていることになる。・・・という言葉は、性について我が子に伝えることをためらっていた自分にブーメランで突き刺さってくるんだけど。

アクロストンさん性教育ワークショップレポ(前編)

アクロストンさん性教育ワークショップレポ(後編)

 その後アクロストンさんは、2冊もの素晴らしい本をご出版されている。1冊目は「赤ちゃんってどうやってできるの?いま、子どもに伝えたい性のQ&A」で、幼児期から家庭でできることをQ&Aという形で提示くださっている。第一章では実際に子どもから聞かれそうなこと(赤ちゃんってどうやってできるの?どこから生まれるの?等)を問いとして挙げ、それに対して科学的・医学的に正しい知識をふまえながら「どう伝えるか(≒どんな言葉を選ぶか)」という答えの一例が示されているのが心強い。実際に(親・大人のほうに)知識があっても、子どもの理解力に合わせて説明することは案外難しいし、また選ぶ言葉によっては意図しないメッセージが込められてしまうなんてこともありそうである。そういう危惧や躊躇いが「性のおはなし」を遠ざけてしまいそうなだけに、まずはこの具体例を手がかりにして子どもとの対話をスタートさせることができるといいんじゃないかなと思う。続く第二章では、子どもに関わる大人(主に親)の多くが疑問に思ったり悩んだりすること(おちんちんの皮はむくの?等)を取り上げて下さっている。なんとなく聞くに聞けないことについては、真偽のほどが定かではない多くの情報が飛び交う昨今、それらにより惑わされてしまう傾向があるように思うので、正しい情報とそれに基づく見解は本当にありがたい。さらに第三章では現代的な性に関わる問題や課題についても触れられ、私たち大人の世代の知識のアップデートが要求されている。性の多様性、家族の多様性について知ること、性的同意とは何か?性暴力とは?・・・それらは私たち自身が教育の過程で「教えられなかったこと」でもあるので、改めての学び直しが必要である。「何にアンテナをはっておくべきか」を、本書は示してくれている。

 でもね、「知る」はあくまでも入り口であって、知ったことをどう自分の振る舞いに反映させるかというのは私たち自身に委ねられている。だけど「知る」ことがなければ振る舞いは変わらないのだから、「知る」ことがまず大事。そしてそのあと、想像を広げたり、他者との出会いや対話を通じて、振る舞いを変えていくことまでが「学び」のセットであると思う。子どもたちは、それが自然と地続きになっているなぁ、と思うことが少なくない。

 たとえば私もオットもつい、小さな子どもさんのやんちゃな様子をみて「男の子やしなぁ。」なんて無自覚に言ってしまうことがあるけれど、アクロストンさんの性教育ワークショップを受けた我がムスメさまはそんな時にすかさず、「それ、男の子関係あるん?」と注意喚起!?してくれる。「すみません、関係ありません。」と、穴があったら入りたい状態になるのは頭でっかちーズの大人である。Kpop大好き、かわいいガールズグループTwice大好きのムスメさま、最近は「誰がなんと言おうと私は私!私はただ“私”になりたいの」「何かになろうとする必要はない 。私は私でいる時が完璧だから」という力強い歌詞の曲ばっかり歌うitzy(同じくkpopのガールズグループ)が大のお気に入りで「かっこいい・・」とウットリしながら踊っている。性教育の根幹にあるのは、自分と他者の権利を尊重する態度だと私は思っているのだけれども、こうやって文化に溶け込んだ形で変容していくんだなぁ・・・もちろん性教育「だけ」で変わるのではなく、その入り口は多様にあって相互に回路がつながっているとは思うのだけれども、大事な一つの入り口になっていることは感じている。

 本当は最近発売されたばかりの2冊目「思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて」についても書かせてもらう予定だったのだけれども、長くなってしまったので次週に持ち越します。本のデザインの素敵さについても、全くお話できてないのでそれもまた改めて。お楽しみに♪

最後にアクロストンさんのオンライン講座のご案内です。

「ワクチンでがんが防げるってすごくない?今こそHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の話をしよう」

 子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を予防するHPVワクチン。日本では2013年より小学校6年生から高校1年の女子を対象に、公費でうてる定期接種になっていますが、様々な事情で積極的に接種をすすめる方針がとられず、対象年齢の子どもたちや保護者に十分な情報が届いていません。そのため子どもたちを対象にした性教育ワークショップを展開されている医師のご夫婦ユニット「アクロストン」さんを講師に迎え、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)のことを学ぶ場を持つことにしました。まずは科学的に正しい知識を学び、自分はどうするべきか自分で考え、またそのことについて家族と話し合うきっかけとなるような場となることを願っています。

日時:11月29日(日)19:00-20:00
対象:中高生~おとな
場所:zoom(オンライン)
参加費:500円

講師プロフィール(アクロストンさん)
医師としての仕事の傍ら、2018年にアクロストンとしての活動をスタート。公立の小学校の授業や企業主催のイベントなど、日本各地で性にまつわるワークショップを行っている。著作に「赤ちゃんってどうやってできるの?いま、子どもに伝えたい性のQ&A」。
Web:https://acrosstone.jimdofree.com/
note:https://note.com/acrosstone

お申込みは、下記よりお願いします。
梟文庫HP:https://www.fukuroubunko.com/
Peatix:https://onlinefukuroubunko-acrosstone2020.peatix.com/

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