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スプラトゥーンで考える勉強攻略作戦会議よろしく

 45歳でスプラトゥーン3を始めてびっくりしたことがいくつかある。その一つが、

「定期的にアップデート(アプデ)が入る」

 ということだった。オンラインゲームを嗜まない方も多いと思うので補足しておくが、たとえばスプラトゥーン3というゲームを購入すると、購入時点での世界(環境)や設定がずっと変わらずに一緒ではなく、1カ月半ごとくらいに入る「アップデート」によってそれら(環境)がどんどん変わっていく。想像しやすいのは、今まで遊んでいたステージ以外にも新しいステージが追加される、という「コンテンツが追加されていく」形だろうけれども、それだけではない。スプラトゥーンというゲームは、インクが発射される様々なブキ(武器)を持って4対4でバトルを繰り広げるゲームだが、何十種類とあるブキたちの性能さえ途中で変更されていく。さらには、今まで遊んでいたステージの地形もアップデートで変わったりもする。こうしたアップデートで、「今まで超強くて無双していたブキたちが弱くなって、アプデ後使われなくなる」とか、「新しい地形を活かせるブキたちが活躍し始める」とか、新しい展開が次々に生まれていく。このゲームの設定(条件)はこうです、一生この枠組みの中で遊んでね、っていうのではなくて、ユーザーの反応や現在の環境がどんな状況を生んでいるのかをみながら、たくさんの人たちが楽しく、気持ちよくプレイできる環境を更新し続けるていく。ここに、オンラインゲームというものの強みがあると気づいた。

 そしてアップデート後に強かったブキが弱くなったり、弱かったブキが強くなったりすることを経験するうちに、「強さ」なるものは、その環境における相対的なものなんだな、ゲームを作っている人たちはそういう世界線を意図的に創り出しているんだな、ということにも気づいてくる。どんな環境でも圧倒的に強い、絶対王者のようなブキがあったら、「試合に勝つ」ためにみんながみんなそのブキを持つことになり、ブキの多様性は失われる。さらにそのブキの特徴を活かすスキルのある人たちしか「強く」なれず、「いろんな人たち」が楽しめる環境ではなくなってしまう。そうならないために、つまり言い換えれば、「それぞれに特徴を持つ多様なブキが使われ、そのブキなりの活躍ができる」環境が目指され、アップデートで微調整が入るのだと思われる。

子どもが生きる社会も、こうだったらいいのにな。

 と、不登校の子どもたちに関わる者としては、思わざるをえなかった。オンラインのようなスピードでアップデートを入れていくことは出来ないにしても、それぞれの子どもたちが安心して楽しく学ぶことができる環境に向けてアップデートされていって欲しい。こう言うと学校「現場」を批判しているように捉えられがちなのだけれども、ここで私が言及しているのは、個々の学校が、とか、個々の先生がたがどうという話ではなく(現場の努力やご苦労は痛いほど知っている)、ひとりひとり違う身体を生きる子どもたちが多様なまま育つことのできる環境とは?を問い、その環境をデザインして実装する(アップデートする)役割を担っている、もっと大きな運営者(教育行政)に向けてである。全国に30万人近くいる不登校の子どもたちの存在は、設定や環境が固定されて一生変わらない特定のファミコンカセットのゲームで遊べるように子どもたちを「指導」するのはもはや時代錯誤で、それぞれに違いのある子どもたちが安心して楽しく参加できるために、常に環境をアップデートし続ける必要があるということを示しているのではないだろうか。

 さらに私は、こういったことを「大人に向けて」えんえんとnoteでも書いてきたのだけれども、「みんなは行けるのに、自分は学校に行けない」と自分を責めている子どもたちにも「そうじゃないよ、あなたが学ぶ環境を整えるのが大人の仕事だよ」というメッセージを届けたいなとずっと思ってきた。私がそんなことを発信したからって、何かがすぐに変わるわけではないことくらい分かっている。でも、「自分が悪い」と思わされ続け、「自分を変えよう」としてくる圧を感じ続けている子どもたちに、「オンラインゲームの時代に、ファミコンのカセットだけで遊ばされるってどうなんよ?」「クソゲーだからアプデはよ入れ」って返り討ちにしていこうぜ!って言いたいんだ。そんでもって、アプデ入れろっていうことは、「教育機会確保法」って法律にもちゃんと書いてあるんだから、安心して主張していっていい。

 というわけで、「スプラトゥーンで考える勉強攻略作戦会議第一回」は、アップデートについて考える、ところから、教育機会確保法についても触れている。ぜひご視聴、チャンネル登録、高評価、よろしくお願いします。


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