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雨あがりの夕ぐれ時         ~冬の雨の夜~

冬の雨の夜。冷たい雨が降る。息は白くひかり、雨のしずくは銀色に街を映し出す。それでもなぜか家に居たくなくて、自転車でとぼとぼと走らせる。

冬の雨の夜。冷たい雨に降られて、どこかにたどり着きたくて自転車で走る。自転車も自分も雨に濡れながら中てもなく街を行く。いつか行ったかもしれないカフェを覗く。できればカフェに行きたいと思っていたことに気づく。お酒は飲みたくない。お酒には弱いしあまり美味しいと思ったことがない。あたたかなカフェが好いが…覗き込むとおれんじ色の光が誘う。けれど満席か…そこはもうすぐ閉店…早いなぁ…雨の中を自転車で歩く。

冬の雨の夜。仕方なくファーストフードのお店に入る。周りのカフェは閉店間際なのに、このお店はなぜか人が増えていく感じ。バンズがこんなにおいしかったかな。どこか手持ち無沙汰だけれど、このお店。悪くない。銀色の街が窓に映る。

雨の冬の夜。12月の雨の夜はどこか寂しい。年の瀬の気ぜわしさがそこを刺激するのだろうか。1月の雨の夜は寒い。年が明けてどこか華やいだ気分がある分、孤独が寒い。2月の雨の夜はすでに違う気配だ。暗い雨の空に春の気配がある。日・一日と。刻・一刻と。変化していく冬の雨の夜。

孤独に凌駕されてよく泣いていた。若いときは特に週に何日かは泣いていたように覚えている。今も今の孤独を感じる。そのこととはまた違った孤独を。その違いを味わいながら、こうして孤独な時間を自由に自分で過ごすことができることのありがたさよ。ありがとう。

多謝。

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