ロシアのケーキ

前回までの投稿では、ロシアのお菓子作りの概況をお伝えしました。

では、どんなケーキがあるのか、具体的にご紹介したいと思います。

※香辛料のきいたジンジャーブレッドのようなクッキーや果物をベースとしたメレンゲ菓子、マシュマロに似たお菓子など、おいしいものはたくさんありますが、ここではケーキに絞って紹介します。(なぜなら1番見た目でも楽しませてくれるからです!)

残念ながらロシアにいつ今のようなスポンジとクリームが重ねられたケーキが登場したか、(インターネットで検索する限りでは)はっきりしていません。

古代ルーシ(Древняя Русь 、9世紀後半から13世紀半ばにかけて、東ヨーロッパおよび北ヨーロッパに存在した国家。 ベラルーシ、ロシア、ウクライナの祖先となる共同体と考えられている。)では、結婚式で”Каравай"(「カラヴァイ」)という繊細なデコレーションを施した大きな丸いパンが提供されていたそうで、これがロシアでのお祝いの席のお菓子の原型となっているようです。(参照元サイト:https://kedem.ru/history/istoriya-proiskhozhdeniya-tortov/


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そして私たちが想像するスポンジとクリームを使った「ケーキ」が現れたのは、19世紀ごろとなっています。

まずご紹介したいのは、ハチミツを生地にふんだんに使った「メダヴィック」です。

ハチミツは砂糖が高価だったころ、ロシアの需要な栄養源でした。
ハチミツが嫌いだったアレクサンドル一世の妻、エリザヴェータ皇后(1779年1月24日 - 1826年5月4日)にハチミツを食べさせるため、シェフが頭を捻って皇后のために考案した所皇后に気に入られ、定着したとのことです。


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ハチミツの風味とクリームを吸った少し固めの生地の歯ごたえがとても面白く、西欧のケーキにはない濃厚さがあります。


そして次にロシアを代表するのは、パリパリの薄いパイ生地にカスタードのようなクリームが挟まった「ナポレオン」というケーキです。

その名前やパイ生地を使用していることから想像に難くないと思いますが、フランスの「ミルフィーユ」ががベースになっています。1912年、1812年のナポレオン軍に対するロシアの勝利100周年を祝ったイベントのために、ニコライ2世の宮廷菓子職人が考案したとのことです。ケーキの上にはパイ生地を砕いた物がトッピングされます。

ミルフィーユとは、クリームの作り方は微妙に異なっています。カスタードに作り方は似ているもの、ソ連時代初期の材料不足の時代に安価に作れるようレシピが簡素化され、小麦粉をより多く入れたり、バターではなくマーガリンを使う場合などもあるようです。(現在は様々な輸入材料なども購入しやすくなったため、色々なバリエーションがあると思います。)

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また他のケーキもご紹介しますが、このように多層で、生地の余った部分をさらに焼き、細かく砕いてデコレーションに使用するのはロシア・東欧独特のスタイルだと思います。

また、様々なYoutuberの方の意見から総括すると、ロシアでは求められる質はとても高いようです。スポンジとクリームの層の厚みが同じになるくらいクリームやジャムなどがたっぷり挟まれ、層は多く、スポンジはふわふわで柔らかく、シロップなどできちんと湿らせてあり、味もただ甘いだけでなく甘すぎないけれどきちんと主張する風味があるケーキが、評価されているようです。

例えばアメリカでは、2層のぶ厚い固めのスポンジの間に、薄くクリームが塗られたシンプルなケーキがありますが、ロシアではそういったケーキはあまり好まれないようです。

次回も他のロシアのケーキをご紹介します。

お読みいただきありがとうございました!


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