見出し画像

「社会」から必要とされなくても「あなた」から必要とされればいい。そう考えた仕事についてのこと。

 営業車の中で1人、運転中に流れてきたラジオ投稿。今年大学を卒業する学生、なかなか就職が決まらないという。社会から必要とされていないのではないかと言っている。

 多くの人が一度はそのように思ったことがあるのではないでしょうか。

 結論から言うと、私は「社会」から必要とされている存在ではないと思っている。特段の根拠はないけれど、なんとなくそう感じています。そしてそれでいいとも思っています。

 私は聖人君子ではないけれど、反社的な人間でもない。妻がいて、里親の猫3匹と暮らしていて、一個人としてはきわめて一般的だと思っています。そして日々営業周りをして、日々誰かと何かを話し、仕事を進めています。それでも「社会」から必要とされていると感じた事は無いです。

 無理にでも根拠と言うと、私という存在が無くなっても、社会は何も変わることなく「日常」のままだろうし、私が担当していた仕事も一時は躓くかもしれないけれど、止まることなく進むと思うからかなと。

 それでも、私という存在が生きていて毎日微力ながらも仕事をしているのなら、やっぱり何かに必要とされたいと思うのです。そしてその何かは「社会」ではなく「あなた」なのではないかと思っています。

 「あなた」というのは、ローンの返済に苦しんでいる「あなた」であり、まさに今この駄文を読んでくれている「あなた」でもあるのかなと思います。大雑把に言ってしまうと、顔のわからない「社会」よりも顔の見える特定の「個人」から必要とされたいのです。

 それは私が今の仕事を選んだ理由にもつながってきます。

 私はお金のためだけに今の仕事をしているのではなく、やりがいも求めて今の仕事を選びました。この「やりがい」が大きな理由の一つです。

 私にとってのやりがいとは、人の人生に大きく関わることです。

 多くの人にとって、家を買う時は人生の最高潮とは言わなくとも、人生の良い山場の一つだと思います。それとは逆に自宅を競売にかけられている時は負の山場の一つだと思います。不動産に関わる時期は、良くも悪くも、人生の転換期にあると思います。

 任意売却の仕事は、人生の転換期の一つでもある負の山場に大きく関わる仕事です。そこにこの仕事のダイナミズムがあり、私にとってのやりがいがあると思っています。

 責任はとても重いです。任意売却が成功するかしないかで、人生が大きく変わってしまう。当事者本人だけでなく、その家族にまで影響は広がります。大げさに聞こえるかもしれませんが、実際にそのくらい大きな影響があります。

 任意売却が成功すれば、住宅ローンの残債が無くなったかもしれない、税金の未納が解消されたかもしれない、当面の生活資金が作れたかもしれない。そんなケースは沢山あります。

 自宅を所有することによって発生する固定資産税を滞納している人は結構多いです。それも数年単位で未払いが続くので100万円200万円とたまってしまっている方も多いです。それを月々3万円払っていったとして、100万円であれば33か月、2年9か月です。住宅ローン等の負債を抱えている家計状況の人が、それだけの金額を毎月払っていくのはとても難しいです。

 任意売却によって、それらの負担を取り除ける。その分生活の再建がとてもスムーズに始められます。当事者にとっては、数字で計算した金額の効果よりも、心理的に計り知れないほど大きな効果があります。

 私はそんな責任の重い仕事に関わることを、自分自身に対するプレッシャーとして感じながらも、やりがいと感じています。そしてこの先もずっと続けていきたいと考えています。

 ここで、とても当たり前な課題が出てきます。どうしたら続けらるかということです。

 私は法人に属していますが、社名だけで仕事が来るような会社ではありません。まして待っていればお客様から問合せが入るなんてこともありません。そのため常に新規営業を行っています。

 任意売却はそもそも需要が少ないですが、少なからずの競合はいます。立派なホームページを構えている、店舗を構えている、メディア露出もしているなど、多少なりとも大手と言えるような会社もあります。じゃあそういったところに転職すればいいじゃんと。

 しかし、そういった会社ですと、私のやりたい任意売却をすることができません。いや、できたとしても極めて稀であると思います。これはお客様や同業他社から聞いたりしているので、なんとなくわかります。

 なぜなら、私がやりたいことは任意売却という部類の不動産取引から利益を得ることではなく、任意売却を通して人生を好転させることがしたいからです。結局は不動産取引があって、そこから利益を得るという経過に違いはありませんが、目的が大きく違います。目的が違えば経過も変わり結果も変わります。

 法人の存続に必要な最低限の利益と、1件の取引から得られる利益、そこから得られる収入。当然ですが現実的にはそういったところも関係しています。

 私の所属する法人は個人事業主に法人格を与えただけのような小規模です。現に私自身も個人事業主のような働き方で仕事をしています。だからこそ、一人一人の状況に寄り添うような任意売却ができるのであり、そのために私は今の会社で働くことを選択しています。

 そこで改めて、この仕事を継続していくためにどうするのか。

 このNOTEを始めたことも、その答えの一つです。まず、私という存在を発信すること。どんなにささやかでも人目に触れていなくても、まずは何かを発信してみようと思い始めました。

 仕事や任意売却に対する考えは人それぞれですが、こういった考えをしている私がここに存在しています。だから私は実名で書いています。実在する私の考えに、誰か一人でも共感をしてくれればとても嬉しく思います。

 その誰か一人が、初めの方で出た「あなた」だと思います。顔の見えない「社会」から必要とされていなくてもいい、いつか顔の見える個人としての「あなた」から必要とされればいい。

 ラジオの投稿を聞いて、こんなことをぼんやりと考えながら、NOTEを書きながら消しながら、約1週間。そう考えた次第です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?