祈る。

ほぼ毎日、あつまれどうぶつの森をコツコツやっている。無人島に移住して島民を増やし、果物や魚を売って、稼いだお金で家を増築したり、洋服や家具を買ったりする。
家具を配置するときには無意識に設定も決めてしまっている。
ここはカフェ、こっちはリゾート風、あっちは遊園地…もうキリがない。
ずっと誰にも邪魔されない無人島ごっこをしているようで本当に楽しい。

たまに他の方の島にも伺うのだが、どの方の島も素晴らしいのだ。綺麗に区画整理され、住宅街と称して島民の自宅を1か所にまとめる。
そして広々とした島を都会に変えてしまうのだ。それぞれ好きなキャラクターや世界観に忠実に作られていたりして、本当に凄い。

先日も流星群が見られる島に伺わせていただき、ひたすら流れ星にお祈りをしていた。
夜空を見上げていると、時々流れ星が見られるのだが、お祈りをすると次の日ビーチに星の欠片が落ちるのだ。その流星群のタイミングはプレイヤー側からは操作できないので、親切な方や商魂逞しい方が島を開放しているときがある。自由にしていいとのことだったので、素敵な街並みを拝見しつつ、ひたすら星に願い続けていた。

もう使われない言葉かもしれないけど、私たちの就活中にお祈りメールという言葉が流行った。元夫の就職活動がさっぱり振るわず、まだ1歳にもならない我が子の子育て真っ最中で専業主婦だった私は、次の面接の準備かはたまた遊んでいたのかはわからないが、夫よりも先に結果の入った封筒を目にすることがよくあった。
その封筒に入った手紙の最後の1文にはこう書かれている。

貴殿の益々の発展をお祈り申し上げます。

落選したのに、益々の発展を祈られている訳である。そう思うなら採用していただきたい。
そして、私は帰宅した夫にこう伝えるのだ。

お祈りだったよ、と。

あの頃は毎日が辛かった。
周りはまだ学生だったり新社会人になったばかりで、家にいなければならない人は少なくとも私の友達にはいなかった。
息子の受験の合否を心配するように夫の就職活動の結果を気にして、しかもそれは4月になると共に終わるものでもない。
子育てよりなにより、その終わらない憂鬱が辛かった。

もうすぐ32歳になる。
まだ32歳なのか、もう32歳なのか。
正直よくわからないが、自分からもうとは言いたくない。また星に祈る毎日だ。

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