すでに愛おしい、金木犀の思い出
道を歩いていると、オレンジのかけらが地面に落ちている。ああ、もう終わってしまったか。そんな寂しさを抱えて、甘い香りの勢いを失った金木犀を見つめる。つかの間の甘い秋の香り、終わってしまったいま、すでにもう愛おしい思い出になっている。
金木犀の行く先は、咲く前から考えていた。引っ越したばかりだったので、まず、金木犀が咲く場所を探し始めたりして。金木犀らしき木を見つけては、忘れないようにGoogleマップに保存をして歩く日々。毎日のように金木犀が咲く場所を巡っては、いつ咲くのだろ