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京都暮らしエッセイ

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京都が大好きで、京都に暮らし始めました。ささいな暮らしの中で感じること、街歩きのエッセイを集めています。
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#日々のこと

京都暮らし、晴れた日の朝活│左京ワンダーランド

「明日は晴れだ」 天気予報を見て、大きな晴れマークがついているのを確認するのは、私が幸せを感じる事柄のひとつだ。次の日が休みであればなおさら。 というのが、「明日は晴れだ」ということを確認してからの、脳内の動きだ。やっぱり晴れだったら出かけたい。でも暑いのも人が多いのも苦手だから、朝早く出かけよう。そう考えてから、軽い計画を立てる。ああ、計画を立てて明日の過ごし方を妄想するだけで、楽しい。 そして、今日。朝から雲ひとつない青空!日中は暑くなるとはいえ、朝の気温はまだ20

桜から新緑へ。季節の巡りをこの目で観察すること。

京都の多くの名所では桜が散り始めていて、少し寂しい。せめて少しでも春を長引かせようと、今まさに満開の場所を探てみる。そこで、妙心寺退蔵院の存在を見つけた。ちょうど大きなしだれ桜が満開だそう。退蔵院であれば自転車で行ける。今日は晴れだし暖かくてちょうどいいだろう。よし、行こう、と朝に決めて退蔵院へ向かった。 境内を歩いてすぐに飛び込んできたのは、とてつもない大きなしだれ桜。薄ピンクの花を咲かせて、青空をバックに堂々たる姿で咲き誇る。 桜の好きなところは、否応なしに上を向かせ

晴れた日、鴨川にて。

久しぶりの、晴れの日だ。ここ最近ずっとどんよりとした曇り空で、時にはしとしとと雨が降り続いていた。東向きの寝室には、本来なら朝の時間を知らせるかのように、あふれんばかりの太陽の光が差し込むのだけど。ここ1週間くらい太陽の光が届かず、つい目覚めが悪くなっていた。 けれど、今日は違う。ベッドに降り注ぐ太陽の光を感じたとき、「あ、今日は晴れなんだ…!」と、届く日差しを全身に浴び、一瞬にして目を覚ますことができた。 うれしい。そんな単純な気持ちによって顔がほころぶのが分かる。サボ

行きたい場所を繋いでいく自転車旅。

私が京都を好きな理由のひとつに、自転車でどこにでも行ける、というものがある。京都の街はコンパクトにぎゅっとまとめられていて、道は碁盤の目状に広がっているので、道に迷うこともなく、北へ南へすいすいと進める。鴨川を走り抜けば、信号もなく快適に風を感じられる。自転車で走るには実に快適な街だ。 春の訪れをひそかに感じる日々。実際はまだ寒いけれど、冷たい空気のなか太陽に照らされて揺らめく木陰や澄んだ青空を見ていると、外に出たくてたまらなくて、いつのまにか新しい場所へと足を運んでいる。

大好きな場所が暮らしのすぐそばにある、その意味とは

大好きな場所があるからこそ、私は京都で暮らすことを決めた。観光ではなく、日常のなかでそばに置いておきたい場所がたくさんあるから。旅行のときにだけ訪れるのはいやだ、散歩がてら訪れたりするように日常のなかにもっと大好きな場所を組み込んでおきたい。そんな気持ちで私は京都での日常を過ごしている。 初詣に、久しぶりに下鴨神社を訪れた。私は京都の数ある神社やお寺のなかでも、上位で下鴨神社が好き。足を踏み入れたとたんに変わる空気感や、季節で移り変わる緑の深さ、そんな緑を抜けた先にひっそり

すでに愛おしい、金木犀の思い出

道を歩いていると、オレンジのかけらが地面に落ちている。ああ、もう終わってしまったか。そんな寂しさを抱えて、甘い香りの勢いを失った金木犀を見つめる。つかの間の甘い秋の香り、終わってしまったいま、すでにもう愛おしい思い出になっている。 金木犀の行く先は、咲く前から考えていた。引っ越したばかりだったので、まず、金木犀が咲く場所を探し始めたりして。金木犀らしき木を見つけては、忘れないようにGoogleマップに保存をして歩く日々。毎日のように金木犀が咲く場所を巡っては、いつ咲くのだろ

京都暮らし、1周年記念日

本格的に京都で暮らし始めてちょうど1年の月日が経った。愛してやまない京都の街で日常を過ごせる幸せを噛みしめて、秋、冬、春、夏、秋と巡る季節を追いかけて、あっという間に1年。1周年記念と称して、改めて京都での暮らしを見つめなおしてみたい。 京都暮らし、始まりはワンルームからちょうど10月の終わり頃、私は同志社大学生が集まる地下鉄今出川駅の近くで、京都暮らしを始めた。京都暮らしをする前は1年3ヵ月ほど、家を持たずに多拠点生活サービスのADDressを使ったり、ゲストハウス、ホテ

思い悩むことがあれば、逃げるように鴨川へ

辛いことがあったり、悲しくてどうしようもなかったり。なんだか言葉にできないモヤモヤがあったり、誰かにそれをぶつけたくなってしまったり。そんなときに、皆さんは何をするんだろうか。 私はそうやって気分が沈んでるとき、自然と鴨川へと足を運んでいることに気づいた。空が広い場所に行って安心したいのかもしれない。走ったり楽器を演奏したりする人たちを見て1人じゃないんだと思いたいのかもしれない。 理由はよく分からないけれど、「これから気分がどんどん落ちていくかもしれない」と認識したら、

京都暮らし、紅葉狩り備忘録:圓光寺(一乗寺)

日に日に目に見える景色が色づいてきている。もみじが真っ赤に染まりつつある京都の街。まだ見頃とは言えないけれど、真っ赤ではなくとも、黄色や緑、赤などのグラデーションに染まる木々がまた美しい。太陽の光によって色合いが移り変わっていく姿も。 このタイミングで京都暮らしをスタートしたからには、ぜひ京都の紅葉シーズンを堪能したい。そう思い、来週~再来週にかけての平日、散歩がてら京都のあらゆる紅葉の名所を巡ろうと、ひとり計画を立てた。今日はその記念すべき1回目だったので、「京都暮らしの