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京都暮らしエッセイ

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京都が大好きで、京都に暮らし始めました。ささいな暮らしの中で感じること、街歩きのエッセイを集めています。
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#みんなでつくる春アルバム

桜から新緑へ。季節の巡りをこの目で観察すること。

京都の多くの名所では桜が散り始めていて、少し寂しい。せめて少しでも春を長引かせようと、今まさに満開の場所を探てみる。そこで、妙心寺退蔵院の存在を見つけた。ちょうど大きなしだれ桜が満開だそう。退蔵院であれば自転車で行ける。今日は晴れだし暖かくてちょうどいいだろう。よし、行こう、と朝に決めて退蔵院へ向かった。 境内を歩いてすぐに飛び込んできたのは、とてつもない大きなしだれ桜。薄ピンクの花を咲かせて、青空をバックに堂々たる姿で咲き誇る。 桜の好きなところは、否応なしに上を向かせ

京都暮らしの春巡り。近所の名所・東寺と六孫王神社を定点観測

京都には本当に多くの桜の名所がある。どこに行こうか、どのように過ごそうか。選択肢はたくさんある中で、逆にたくさんあるからこそ、途方もない気持ちになり、選択疲れに陥ってしまう。 去年の桜の時期はというと、鴨川(賀茂川)でひたすらピクニックをしていた。お寺や神社を巡るわけでもなく、ただ目の前の景色をうっとりと眺めているような。 今年はどのようにして過ごそうか。引越した関係で、大好きな鴨川が遠くなってしまったし、観光客が例年以上に多い今年はなかなかゆっくり過ごすことはできないか

春の京都の片隅を歩く。桜の行方を追いかけ彷徨う日には

4月1日。新生活にドキドキしたり、そうでなくてもなんとなく背筋がピンとしたり。フリーランスで特に環境に変わりはない私ですら、「新しい区切りだな」と思えるこの時期が好き。4月1日、桜の開花も進みつつあり、そして京都の天気予報は大きな晴れマーク。いいスタートを切るためにも、始まりにふさわしいこの日を、桜巡りDayに充てることとした。 気づいたら、1日で10キロ近く歩いていた。歩こうと思って歩いたわけではなく、桜を追い求めていたら、歩いていたのだ。バスは混雑していてあまり乗る気に

京都暮らしの春巡り。梅小路公園で一足早い春の香り

京都が大好きで、気づけば京都に暮らし始めていた。京都には有名な寺社仏閣がたくさんあり、観光客の心を惹きつけて止まないけれど、この1年ちょっと京都に暮らして思うのが、京都の魅力は日常にこそある、ということだ。 京都に暮らし始めてから、昨日と今日と明日のそれぞれの景色の移り変わりをこの目で確追うことの楽しさを知って。春夏秋冬だけでなく、春と夏の間、冬と春の間、季節の移り変わりの美しさを愛おしいほどに感じられる。その移り変わりを体感できるのが、旅行と暮らしの決定的な違いだと思う。

京都暮らし、桜を探し求める旅 Vol.4

京都を愛してやまない京都暮らしの私が、京都の美しい桜を探し求める旅も第4弾。 今回は、友だちと花見をしたときのことを綴っていきます◎ 桜を「観る」だけでなく、桜の景色の中で「過ごす」、この違いによる心地よさを存分に受け取った1日でした。 桜と、お酒と、おしゃべりを友だちと、そもそも夜に飲みに行こうという話をしていた。けれど、せっかくのぽかぽか陽気の日、「もし空いているなら、昼から花見しない?」と誘ってみた。そしたら、「花見をするなら、お酒飲みたくない?」となり、昼からお

京都暮らし、桜を探し求める旅 Vol.3

満開を迎えた桜が、少しずつ散り始めている。ほんの少しの風が吹くだけで吹雪のようにピンクの花びらが舞って、その姿がとてもきれい。 第3弾となる今回は、京都市内の北側を巡った桜の旅について記録したい。私の家から半径3キロ以内にある、桜の世界。しみじみと、このエリアで暮らしをはじめてよかったなあと目を細めたくなるような、そんな景色が広がっていました。 賀茂川沿いの桜鴨川は出町柳のデルタを超えると、西側が賀茂川、東側が高野川に分岐される。私が住んでいるのは、賀茂川の方。四条から三

京都暮らし、桜を探し求める旅 Vol.2

各所の桜が見頃を迎えて、京都の街が騒がしくなってきた。どこを歩いていても、お寺や神社、公園、学校、いたるところでピンクに彩られた桜が咲いている。天気もよくて、あたたかくて、そんな空気が嬉しくて仕方がない。 先週はしだれ桜を中心に巡っていたけれど、今週はふらっと近くの桜の名所やお寺に、散歩がてら立ち寄ってみることとする。 大好きな京都の街には、散歩がてら行ける場所に素敵なスポットがたくさんあって、「私はこうやって散歩や日常の延長で、京都の街のよさを味わいたかったんだな」とし

京都暮らし、桜を探し求める旅 Vol.1

京都が大好きでたまらなくて、京都暮らしをはじめた。そんな私にとって、春夏秋冬の移り変わりを京都にいながら感じられるのは、何よりも幸せなこと。とくに春には、お寺や神社、鴨川、至るところで春の浮き立つような桜の美しさを味わえる、とっておきのシーズンだ。 そんなこんなで、私は京都で過ごす初めての春を、今か今かと心待ちにしていた。京都市内の桜の開花情報と天気予報をチェックしては、桜を見に行くスケジュールを組む、そんな毎日が始まった。 明日から天気がよくなさそうなので、今日が満開の

春の訪れを感じる、アイスコーヒー

3月になって、すっかり春めいた気候が感じられるようになった。あんなに寒くて震えていたのが嘘だったかのように、るんるんで春服を探し、季節限定の桜のお菓子やドリンクを手に取ってしまう。冬眠からあけた動物のように、この季節を心待ちにしていた。 けれど、私にとって「春が来たなあ」としみじみと感じるきっかけは、コーヒー屋さんで、ホットコーヒーではなくアイスコーヒーを選ぼうと思える瞬間だ。寒い冬にはホットコーヒーしか選ばない。そんな私がはじめてアイスコーヒーを頼む日。それが、私にとって