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京都暮らしエッセイ

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京都が大好きで、京都に暮らし始めました。ささいな暮らしの中で感じること、街歩きのエッセイを集めています。
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#日記

晴れた日、鴨川にて。

久しぶりの、晴れの日だ。ここ最近ずっとどんよりとした曇り空で、時にはしとしとと雨が降り続いていた。東向きの寝室には、本来なら朝の時間を知らせるかのように、あふれんばかりの太陽の光が差し込むのだけど。ここ1週間くらい太陽の光が届かず、つい目覚めが悪くなっていた。 けれど、今日は違う。ベッドに降り注ぐ太陽の光を感じたとき、「あ、今日は晴れなんだ…!」と、届く日差しを全身に浴び、一瞬にして目を覚ますことができた。 うれしい。そんな単純な気持ちによって顔がほころぶのが分かる。サボ

京都暮らしのエッセイづくり完成までの道のり【Vol.1】

年内に京都暮らしのエッセイをまとめたZINEを製作しようかと思っている。とはいえ、まだまだ構想すらできていない状況。せっかくなので、「どうしよう?」の過程をnoteにまとめていくのも面白いかな~なんてことを考えながら、いまこの記事を書いています。 まず第1弾の今回は、ZINEのテーマやコンセプト、世界観をまとめていければなあと…!本当に書きながら考えている、脳内そのままでお送りします。 コンセプト・テーマ今回のZINEのコンセプトについて、こんなテーマで書いてみたいなあと

京都音楽博覧会2023にて

京都に暮らし始めて早1年弱。「京都で暮らせて幸せだな」と感じるできごとはたくさんあって、そのたびに私はこの選択が間違っていなかったことを実感する。 「京都で暮らせて幸せだな」と感じるできごとが、昨日もまた1つ増えた。くるりが主催するフェス「京都音楽博覧会2023」に参加したからだ。 会場となる梅小路公園までは、家から歩いて20分ほど。散歩がてらフェスに行ける身軽さはなんとも心地がいい。大好きなアーティストが音楽を奏でて、たくさんの人がそれに聞き入っている。普段の暮らしの延

一瞬で過ぎ去る秋の空気を、いつまでも忘れないために

朝、部屋に入る柔らかく冷たい風に触れる、ただそれだけで、泣きたくなるようなじんわりとした幸せを感じてしまう。それが、秋という季節だと思う。何もしなくても、ただ秋の風や空を肌で感じるだけで幸せだと思えてしまう季節。 秋はすべてが愛おしい。朝の冷たい空気を感じながらホットコーヒーを飲むこと。洗濯を干しているときに感じる風の心地よさ。部屋で柔らかく揺れるカーテン。足元に転がるどんぐり。空を見上げると広がっているうろこ雲。当たり前のように繰り返される毎日の断片で、私は泣きたくなるく

写真で振り返る、夏の京都の記憶

朝晩と肌寒くなってきて、秋の風の心地よさを感じる頃。もうすっかり世間は秋へ秋へと向かっていて、夏のうだるような暑さが少し遠い記憶となってきた。あんなに夏の暑さが嫌いだったはずなのに、空気が秋めいているまさにいま、少し遠い夏の景色が恋しくなってきているのも事実だ。 あんなに暑さを嫌悪していたというのに、それがなくなったとたん、どこか懐かしい、いい思い出として記憶されるようになっている。まあ、いい思い出なのは事実なのだけど。恋人と別れた後、何年後かにいい思い出として美化された記

引越しまで残り1ヵ月。この街を愛し尽くそう。

引越しまで残り1ヵ月ほどになった。といっても、京都市内から京都市内への引越しで、距離でいえば10キロ以内の移動だけれど。京都が大好きな私にとっては、1キロ単位で好きな場所があるから、10キロというのはとてつもなく大きい。 いま住んでいるエリアは、とにかく私のお気に入りばかりが集まっている。15分も歩けば視界が開けた鴨川に突き当たるし、出町柳、下鴨神社、京都御所、西陣、そんな私の「大好きな京都」がぎゅっと詰まったエリアなのだ。だからこそ、本当にさみしい。これが引越しブルーとい

春の訪れを追いかけて

冬の薄曇りの寒い時間を過ごしていたのが嘘だったかのように、すっかりと真っ青な晴れた空が続く、ここ最近。ずっとずっと私は春の訪れを追いかけているし、これから訪れる桜の開花を、今か今かと待ちわびている。 せっかく大好きな京都に移住したんだし、今年の春はとにかくいろんな場所で桜を見るぞ、とまだ蕾の桜の木々を見上げながら強く決心している。 そんな私と同じような気持ちで京都巡りをしている(と私が勝手に思い込んでいる)アオイさんのnoteを見て、一足先に春の訪れを感じる方法があったこ

思い悩むことがあれば、逃げるように鴨川へ

辛いことがあったり、悲しくてどうしようもなかったり。なんだか言葉にできないモヤモヤがあったり、誰かにそれをぶつけたくなってしまったり。そんなときに、皆さんは何をするんだろうか。 私はそうやって気分が沈んでるとき、自然と鴨川へと足を運んでいることに気づいた。空が広い場所に行って安心したいのかもしれない。走ったり楽器を演奏したりする人たちを見て1人じゃないんだと思いたいのかもしれない。 理由はよく分からないけれど、「これから気分がどんどん落ちていくかもしれない」と認識したら、

暮らしの半径3キロ以内で、旅に出る

暮らすことと、旅すること。一見、対極にありそうな2つだけれど、共存している、と私は身に染みて感じる。私はいつだって、暮らしの中で旅に出ているんだ、と京都での暮らしを思い返してみてふと気がついた。 そんな暮らしに名前をつけるとしたら、「暮らしの半径3キロ以内で、旅に出る」という言葉がしっくりくる。たった3キロ、と思うかもしれないが、ぐるっと半径3キロで円を描いたら、想像以上にその範囲は広いことに気づくだろう。暮らしの中心となる家から外に向けて一歩踏み出せば、ささやかな旅は始ま

京都暮らしの備忘録vol.1「朝の空気を纏う京都の街」

京都にプチ定住をして早1週間。こんな感じだとあっという間に2ヶ月過ぎてしまいそうでこわい。ので、ちゃんと感じていること、気づきを備忘録として書いていきたい。 この1週間で感じたことは、朝の空気を纏う京都の街って良いよね~~ということと、属するコミュニティが変わったことについて、かな。 朝の空気を纏う京都の街が好き京都に来てからというものの、仕事がたっぷりとたまっていて全然遊びにいっていないしずっと休めていない。 けれど、なんとしてでも死守したい時間が、私にはある。 そ

京都暮らしの備忘録Vol.4「祇園祭に毎日通う」

7月の京都、街全体がお祭り気分で浮き立っていて、その空気の中で街を歩いていると、とってもワクワクした気分になる。そして、京都で仮暮らしをしている私は、祇園祭の魅力にどっぷりと浸かってしまい、毎日のように祇園祭に通っている。 祇園祭について全然知らなかったけれど、知れば知るほど面白くなってきたので、ちゃんと祇園祭を知って楽しむことにした。毎日四条や烏丸に通って、祭りの雰囲気を存分に楽しむ、その途中経過について。 7/13地域ごとに山鉾を組み立てている最中の時期。ひとつずつデ

アイスコーヒーと江國香織と秋の気配

今日は特別に、いい天気だった。少し前まで予測できないゲリラ豪雨とか、外に出るのも嫌になるほどの暑さだとかで、いい天気、とはほど遠い肌感だった気がする。けれど、今日は完璧に秋の気配がした。 最近、天気のことばかり書いているのは、単に私がこの夏から秋にかけての空気の移り変わりを感じていたいからで、その感じていたことを忘れたくないからで。夏に未練を残しつつも、大好きな秋の香りが少しずつ色濃くなっている、まさにこの瞬間瞬間に感じていたことを覚えておきたいから。 (そういえば1週間

心が豊かだったのか、生活が豊かだったのか

京都にプチ定住をし始めて3ヶ月が経とうとしている。ADDressを使って多拠点生活をしていた私の暮らしが遠い昔のようだけれど。3ヶ月という月日があっというまに感じるし、遠い昔の日々のような気もする。 そういえば、とふと思い出す。 家を持たずに日本全国を旅するように暮らす、ADDressの暮らし(一般的にいう、アドレスホッパーやノマドの暮らし)って、とんでもないエネルギーが必要だったんじゃないか、と今になって振り返る。 たとえば。1週間ごとに住む場所を変える。家が変わるか

秋が深まっていく

最近、外を歩いていると、だんだんと秋が深まっていく景色を見ることができる。10月と11月では、同じ秋とはいっても空気感がまったく違う。9月は夏の余韻を引きずる、10月はなんだか切なく感じる、11月はじっと冬が迫っている。 11月といえば紅葉だけれど、一面真っ赤に染まった紅葉よりも、黄色、緑、赤がグラデーションのように広がる今の時期がちょうど好きかもしれない。そんなことを鴨川沿いを歩いていて、大通りに立つイチョウの木を見て、感じた。 秋が確実に深まっていて、でもどこかのタイ