1条詰 問題集 民法1

 まずは請求側から。条文を1つだけ使って、甲さんの乙さんに対する請求をなりたたせてください。

問題: 甲さんは、乙さんに対し、コンピューターXを、代金2万円で売りました。甲さんは、乙さんに対し、代金の支払を請求しようとしています。

答えは↓



(ヒント)契約です。











答え: 555条(売買契約)

「売りました」と書いてあるから簡単ですね。最も基本的な契約類型の一つ、売買契約です。

 大前提 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる(民法555条)

 小前提 甲は、乙に対し、コンピューターXを、代金20万円で売った。

 結 論 甲には、売買契約に基づく代金支払請求権が認められる。


 最初の問題なのでもう少し詳しく解説しておくと、問題文では、小前提(甲が乙にコンピューターXを代金20万円で売った)と、結論の一部(代金の支払を請求しようとしている)が明らかになっていました。

 ここまで判明していれば、あとは適切な条文(大前提)さえ見つかれば法的三段論法が成り立ち、請求をなりたたせることができます。

 そこで、民法の目次をみてどの条文が使えるかを探していくわけですが、「売った」と書かれていることから、「売買契約」なのではないかと当たりが付けば、問題はほぼ解けたような状態です。売買契約の最初の条文、555条で請求をなりたたせることができます。

 ちなみに、大前提と小前提の対応は、「当事者の一方(本件では甲)がある財産権(コンピューターX)を相手方(本件では乙)に移転することを約し、相手方(乙)がこれに対してその代金(2万円)を支払うことを約束している」(要件)です。

 したがって、「売買契約が効力を生じ」、それぞれ代金の支払いや財産権の引渡しを請求できることになります(効果)。

                                以上