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§読書録:「素敵な体調の崩し方」月葉月

うんと若いころ、一世一代の恋をした。
幸せなお付き合いをしていたはずなのに、「きみが重たいのが嫌だった」と捨てられた。「嫌なところは治すから!」とすがると、「そういうところが重いんだ」と言われた。取りつくしまがないとはこのこと。
会社でもパワハラに遭って、人格否定される日々。
わたしのすべてだった彼にはもう会えない。
生きている意味がわからなくなり、心療内科のお世話になったわたしは実家へ連れ戻された。両親にも兄にも、心配をかけた。

月 葉月さんの「素敵な体調の崩し方」を読んで、自分の体験かと目を疑う思いだった。それくらい似ていた。
まるで20数年前に戻ったような感覚、耳の奥が痛む。

私ね、恋をしていたんだ。生活に支障が出るまで好きでいる事を止めなかった。
頑張る底力や笑顔をくれ、景色をキラキラさせてくれた。温もりある感情を教えてくれたのは、全部『僕』だった。

ー自分よりも大切な存在だった。

月 葉月「素敵な体調の崩し方」/幻冬舎

そうか、思い出した。
涙をこらえると、耳がキーンと痛くなるんだった。
心動かされることがあるとすぐに泣いてしまうわたしが、どうして?

誰とも共有したくない、美しい思い出だから。涙を流すと、気づかれてしまいそうで。わたしだけの甘く苦しい大切な思い出。

二十歳を少し過ぎた頃の気持ち、思いださせてくれてありがとうございます。
この一冊に感謝と尊敬をこめて。






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