最近の記事

先生と私

先生は、私には会いたくない、と言った。 真夏の昼下がり、お使い物を病室に直接お届けしたい、と連絡を入れたら、先生の秘書に渡せと言う。 大した手間ではないですよ、病院も近いですし。 そう言った私に、先生はかすれ声ながらも、きっぱりとした口調で、言ったのだ。 あんたは身内じゃないから。痩せてみっともない姿を見せられないよ。 じゃあ、お元気になられたら、お会いしてくださいね。 そう言った私も、すでに悟っていた。 もう、先生には二度と、会えないのだろうと。 私の役割は、若くて健康、

    先生と私