指輪物語、読後とりあえず書く

力を捨てる旅、ということでもっと武力の登場しない作品なのかと思っていたら、そうでもなかった。

滅びの山への旅を自ら引き受けるフロド、自由意志で旅に参加せよと指示するエルロンド、ギムリだけに目隠しをするのではなく皆で目隠しを引き受けようと提案するアラゴルン、あたりの物事の考えかたが好き。

作戦会議が長引いたときのビルボの「エルフは言葉を食べても生きられる、ドワーフはいくらでも耐えられる、ただホビットはそうじゃない。お昼の時間にはちゃんとお昼ご飯を食べたいんですよ」という内容のセリフがとても素敵だと思う。腹減ったら飯くいたい素朴な存在のホビットが、指輪の重責を引き受けるという格好よさ。

モルドールのトルコ感が半端ない。トールキンは寓意が嫌いとあったので意図したものでは無いのだろうけど、意図していなければしていないほど、ヨーロッパ人の魂に脈々と刻まれた東へ恐怖感が感じられて面白い。おまえらほんまトルコ怖かったんやな知らんけど。

ガンダルフは絶対復活すると思っていたらやっぱり復活した(笑)。ていうか心臓に悪いからもうちょっと普通に帰ってきてほしい。

スメアゴルが素晴らしすぎる。弱くて、愚かで、汚くて、可哀そうで、なんか可愛い。それって人間そのものじゃないですかそしてもしかしたら私じゃないですかトールキン先生。そうともよ、いとしいしと!魚いっぱいあげたい……

ときどき中世騎士物語を感じて楽しい。河を流れてくるボロミアを読んで、赤毛のアンを思い出してしまった(笑)。キャメロットの乙女?アーサー王物語?

エルフの長生き具合にマジで驚く。王にならねば娘はやらんというエルロンドにさらに驚く。

トム・ボンバディルが中つ国最古としか解説されていなくて、もうちょっとなんか欲しい。

ギムリ及びドワーフの頑固さ誇り高さ可笑しさが良い。素直で頑健なホビットや、知的で優雅なエルフよりも、偏屈具合が好きかもしれない。

アラゴルンが英雄すぎて、フロドが精神的に上等すぎて、眩しすぎる。サムにいたっては、良い奴すぎて途中で死ぬと思っていた。

デネソールの火葬がギリシャ悲劇みたいで好き。トロイの最期みたいな劇的さが楽しいし、運命にもまれて過激な選択をしてしまう自意識過剰な人間らしさが好き。デネソールの愚かさ、なんだか身近に感じます。(笑)ゴンドール執政家の面々が、いかにも一族の終末に現れる不穏な家族って感じで良い。

セオデンのゴンドール入り、直前に「王は引き返すんじゃなかろうか」とかメリーに思わせるの憎い。あれのせいで感動倍増(笑)。歌いながら殺しまくるローハンたちが妖しくて好き。

何故かガラドリエルという名前を読んで大きな教会の鐘の音を連想し、ケレボルンと言う名前を読んでケルトの丸い鈴の音を連想する。そしてインゲボルクという名前で竪琴の音を連想したトニオ・クレーゲルを思い出す。(笑

モリアのインディジョーンズ感がとても楽しい。「われら出ずること能わず!」とかこういうの好き。怖いの大好き。

メリーとピピンがあまり深刻にならないキャラなりに大役を果たしているのが、こういう物語の運び、アニメや漫画でも結構あるよなあと思う。

なんか書いてたら目ぇしょぼしょぼしてきたからやめる(笑)。

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