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偏りと賞

とびちる声をあつめよう
嵐の空にぬいつけよう

木島始『回風歌・脱出』

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自分の耳は偏っていると思う。自分の演奏の好みが固まってきた、ということでもあるけれど。
コンクールを聴いて、審査結果を聞いて、真っ先に思ったのはそのことだった。

自分が思ういい演奏と、下された評価が、あまりにも乖離していた。そこに、驚いた。

コンクールって、なんなんだろう。
絶対評価ができない分野で、生業も違う審査員の集合によって、順位が決定される。そんな「DVクソメンヘラ」なイベントに、残酷に夏を賭けている人たちがいる。

コンクールは、良くも悪くも影響力が大きすぎる。
いい色じゃなくても、賞が付かなかったとしても、いい演奏をする団体はたくさんあった。好きな演奏にたくさん出会えた。でもそれは聴いたから言えることであって。
聴かなかったら「あそこが今年は上手いんだな」とか「この団体は今年微妙なのかな」とか、そんなことを考えてしまう。賞の色で判断してしまう。判断材料がそれしかないから。
そうやって、「演奏を聴いていない人にとって、審査結果が出場団体に対する唯一の評価指標になってしまう」ことが、自分には恐ろしい。

所詮コンクールの審査結果なんて2次情報だから。
それに踊らされたくはない。

だから、来年もたくさん聴こう。
舞台裏からでも、リハーサル室からでも、客席からでも、ホワイエのスピーカーからでも。

たくさん聴いて、好きな演奏にたくさん出会いたい。

偏ってて、よかった。

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