風にゆれる
停留所で次の電車を待つ。
ホームのへりで踵を上げる。
線路の向こうにきみが、
ゆれる、ゆれる。
ひとりきりで咲いている。
いつからそこにいるのだ。
スカーレットのドレスで、
ゆれる、ゆれる。
きみがふと首をもたげる。
おいでよと、ぼくを誘う。
微笑みながら、嘲りながら、
ゆれる、ゆれる。
風の音階(おと)が聞こえる。
ホームのへりで僕も踊る。
踏み越えてしまっても、
ゆれる、ゆれる。
僕も、ゆれる。
(2021年4月24日初出 再掲載にあたり改編)
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