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わたしとキムくん #8 ねぇ


ザザンッ……


「……もしかして、祇園祭のとき、手を繋ぐチャンスをくれていたの?」


キムくん、気がついてたんだ……


「…そうだね……お祭りの雰囲気が良かったし……」


手を繋ぐチャンスに気づかれていて、恥ずかしくて、目をそらしてゴニョゴニョ話すわたし。



「そっか。あとさ、」

「うん?」

「カカオトークで話していたとき、なんであんな嘘をついたの?」


わたしがついた嘘。


これからも孤独を抱えながらも、きっとそれなりに楽しく1人で生きていくのだと思っていたところに、偶然キムくんに出会った。


でも、


キムくんが元彼と同じ歳だったこともあり、どうせまたこれも過ぎ去っていく恋愛なのかな、と思った。


”楽しい!”という思いと同時に、”傷つきたくないから恋愛が始まってほしくない……”という思いもあった。


そんな思いからついた嘘……
(#2 , #3のエピソード参照)


「韓国人は、相手を断るときにそういう嘘をつくから、僕のことが嫌いになったのだと思って焦ったよ。でも、そうではないと知って、なんでそんな嘘をついたのかな?と考えたんだ。」


キムくんは続けて言った。


「もしかしたら、みるは、何か辛いことがあって、もう傷つきたくないからそういう嘘をついて遠ざけようとしたんじゃないかな?と思ったんだけど、違う?」


図星すぎてびっくりした。
ちょっと泣きそうになったのを必死に堪えながら頷いた。


わたしは何も深いことは話していないのに、そこまで悟ってくれたんだ……


わたしは考えていることをあまり口に出せずに抱えてしまうところがある。


だから、


こんな風に気持ちを察してくれたことがビックリで、嬉しかった。


この人なら、ずっと一緒にいれるかもしれない。

この人なら、どんな自分も受け入れてくれるかもしれない。


なんか、心の糸が解けた感覚がして、急に自己開示をしたくなった。



「わたしの年齢、知りたい?」

「みるが話したくないなら別に話さなくてもいいよ。」

「わたしはキムくんより6歳年上なんだ。」


ひゃー!言っちゃった……
なんて返事が返ってくるかな?(ドキドキ……)




「……え?なんで秘密にしてたの??全然若いじゃん。」


……え??



「え……6歳も上なんだけど?????」

「言わなかったけ??僕の実の姉は、11歳年上の人と結婚したって。」

「うん、そう言ってたけど……」

「だから、僕もみるがそのくらい年上でも構わないと思ってたけど?」


え……えーーーーーーーっ!?!?∑(゚Д゚ノ)ノ



「いやさ……男性が10歳年上とかは、よく聞く話だけどさ……逆パターンは珍しくない???」

「そう?僕は男性でも女性でも一緒だと思うけど?
みるが40代でもいいと思ってたし……」

……..ほえぇ〜〜〜〜〜。(拍子抜け)………


「で、さっきの話だけど」

キムくんが言った。

「うん?」

「今度はちゃんと手を繋ぐよ。」


😳!!


「……わかった。ㅋㅋ」

「じゃぁ、そろそろ行こうか。」


そう言ってキムくんは立ち上がって手を差し出してくれた。


ドキッ……


手を繋いで帰るのか……



差し出された手をとって立ち上がったら、



キムくんはすぐに手を離した。



えーーーー!!!∑(゚Д゚ノ)ノ
繋がんのかーーーーい!!

心の声


とツッコみたかったのに、お互いの言語が話せないと、こういうときに不便だ。


「チャッカンマン!!(ちょっと待って)」


と言って、わたしはパパゴで訳してキムくんに見せた。


「手を繋いで帰るのかと思って、ドキドキしたのに……」


キムくんは、あぁ、そうか、というような素振りを見せて、わたしの手をとって歩き出した。


歩きながら、キムくんが言った。


「僕は仲の良い幼なじみたちがいて、なんでまた日本に行くの?と彼らに聞かれたから、みるに会いに行くと伝えたんだよね。」

「うん。」

「そしたら、彼らは、"2人は付き合ってるの?"と聞いてきたんだ。
僕は付き合ってると思うんだけど、どうかな?」

「ㅋㅋㅋㅋㅋ」

「なんで笑うの??」

「いいよ!^^ㅋㅋㅋ」

「ㅋㅋㅋㅋㅋㅋ」

「ㅋㅋㅋㅋㅋㅋ」



そうして、わたしたちは海辺を、手を繋いで歩いて帰ったのでした。




続く

【あとがき】
恥ずい……自分で思い返して、自分で書いてて恥ずいです。www

こんな恥ず過ぎるわたしの話を読んでいただきありがとうございます。T^T♡

この日のことを思い返していて浮かんだのは、DREAMS COME TRUEの"ねぇ"という曲でした。この歌、大好きなのです。

"ねぇ、どのポケットも
思い出でいっぱいのその服を
今日は脱いでみようよ
もしかして 思うより
案外 平気なことに
気づくかもしれない
大丈夫 最悪のときは もう過ぎているから……"

辛くて思い返すのも嫌な過去はきっと誰にでもあると思います。
そんな自分の思いや過去を受け入れて、もう一度踏み出してみよう、という、何度も勇気づけてくれる曲です。

この曲が今必要な人に届くといいな、という思いも込めて……😌🌱

さてさて、キムくんが韓国に帰国するまでのエピソードがもう少しあります。もし良ければ、(飽きずにw)最後まで読んでいただけると嬉しいです^^

▼"ねぇ"- DREAMS COME TRUE


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