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字幕翻訳者が語る!「マイ・ディア・ライフ」の見どころ紹介

※「ミセン」、「マイ・ディア・ライフ」のストーリーについて触れている記述があるのでご注意ください

こんにちは。中国ドラマ「マイ・ディア・ライフ〜かけがえのない明日へ〜」字幕翻訳者の1人、ジュンコです。ちょっとだけ自己紹介をしますと、私はこの仕事を始めて10年ほどになりますが、一般的なドラマより漫才やコントを多く手がけてきたという異色(?)の経歴を持っています。とはいえ、中国のお笑いに関する知識など何の役にも立たないんですけど…。
 
さて、7月中旬より毎週2話ずつお届けしてきた「マイ・ディア・ライフ」が11月で最終話までの配信を終えました。翻訳者の1人として感無量です。そこで今回は皆さんへの感謝を込めまして、本作をより楽しんでいただくための見どころをご紹介したいと思います。
すでに視聴済みの方も、これから視聴くださる方も、お付き合いいただけると幸いです。

「マイ・ディア・ライフ」はこんな作品

「マイ・ディア・ライフ」は韓国の「未生 ミセン」という漫画が原作のヒューマンドラマです。主人公は26才のフリーター。ある日突然、実習生として一流企業で働くことになった彼が、戸惑いながらも数々の試練を乗り越え成長していく物語です。同時に、会社組織内のさまざまな立場にある人たちの人間模様を描いた作品でもあります。

同漫画を原作としたドラマには2014年に韓国で制作された「ミセン」 があります。韓国ドラマ「ミセン」も社会現象を巻き起こしたと言われるほどのホロリと泣けちゃう名作ですよね。タイトルを見ただけで目頭が熱くなっちゃうのは私だけでしょうか。

一方、中国版「ミセン」である「マイ・ディア・ライフ」は2020年に制作されました。
主人公が勤務するのは上海の投資会社という設定だけあって、国際都市上海のオシャレな街並みやカフェが登場したり、仕事で扱う案件がスマホアプリやRPGゲームだったりと、全体的に現代風で洗練された雰囲気に仕上がっています。

近未来感がすごい上海の高層ビル群。夜景もたくさん登場します

マーク・チャオの圧巻の演技に注目

本作の主人公スン・イーチウを演じるのは注目若手俳優のバイ・ジンティン(白敬亭)です。バイ・ジンティンの繊細でみずみずしい演技も心にグッと来るものがありますが、この作品の目玉は何と言ってもウー課長役のマーク・チャオ(趙又廷)でしょう!
マークが2017年のラブロマンス史劇「永遠の桃花~三生三世~」で大ブレイクした俳優であることは華流ドラマファンの皆さんならよくご存じですよね。マークが演じるウー課長は本作のもう1人の主人公とも呼ぶべき存在で、情熱と能力は人一倍なのに不器用で周囲と衝突してばかりいます。
ウー課長が登場した瞬間から「実際にこんな会社があって、こんな課長さんがいるのでは?」と思えてしまうから本当に不思議。自然体なのに説得力があるのがマークの演技なんですよね。

主人公のスン・イーチウ(左)とイーチウの上司 ウー課長(右)

原作との違いについて

まずは共通点からご紹介しましょう。最大の共通点は何と言っても登場人物です。主役から脇役までキャラクター設定はほぼ同じです。主人公がプロ棋士を目指していたことや、課長がいつも寝ぐせ頭なのも共通しています。
共通しているのに…それぞれ違う人物に思えます。異なる国の異なる文化で育った異なる人物として個々のキャラクターが確立されているのです。これぞ脚本の素晴らしさ、俳優さんたちの演技力のなせる業ですね。

ただ、原作漫画は韓国の作品。ということで、中国ドラマのマイ・ディア・ライフでは名前がかなり変わっています。
原作版とマイ・ディア・ライフの主要な登場人物の比較表を作ったので、ぜひドラマを見る時の参考になさってください!

左からラン・チエンイー、スン・イーチウ、ガオ・スーツォン、ハオ・シュワイ

また、原作は商社、マイ・ディア・ライフは投資会社のお話です。
そのため、仕事で扱う案件の内容は全く違うのですが、オフィスで起きるちょっとした事件や出来事には共通するシーンが多く登場します。

・主人公が同期の実習生たちから置いてきぼりを食らう
・正式採用のための選考試験がプレゼン形式
・課長が別の課の課長を殴る
・主人公が気弱な先輩社員を助ける
・主人公の課に新たに配属された課長が不正を犯す
                             …などなど

たくさんの共通シーンがあります。
でも、そこに至る経緯はかなり違っているので、途中までは全く気づかずにドラマを見進めてしまうことと思います。そのため、このシーンはもしかして…!と注意しながら見るのもおすすめです!

中国版のオリジナルシーン

共通するキャラクターやシーンも多いですが、全然違う設定のキャラクターも登場します。特に社長は原作と中国版ではかなり違います。
中国版の社長はいかにも現代の中国社会を象徴したような人物ですので、ぜひ第23話の初登場シーンをお楽しみくださいね!
 また、原作では主人公の同期のハン・ソギュルが「壁の犬」と呼ばれているのですが、中国版のハオ・シュワイは残念ながら「壁の犬」とは呼ばれていません…。
でも、どちらも本当にいい奴なので、「壁の犬」ファンの方もがっかりせずに中国版もチェックしてみてくださいね。

他にももちろん、原作にはあって中国版にはないシーンもありますし、逆に中国版にしかないシーンもあります。
今回は、その中でも私のお気に入りのシーンを2つ、特別にご紹介しましょう!

新人4人が郊外の農業ファームを訪れるシーン
梨園で梨をかじったり、近代的な豚舎に驚いたり、まるでピクニックにでも来ているかのように楽しげでリラックスした様子の4人がとてもほほえましいです。

農業ファームの食材を使った料理。おいしそう…でも、これも彼らにとっては仕事です

主要な登場人物がほぼ全員参加する慰安旅行のシーン
みんなで慰安旅行だなんて想像するだけでワクワクしますが、旅行先で主人公たちが参加することになるサバイバルゲームがこれまた最高にエキサイティングです。あの人があの人を銃で撃っちゃいますよ~!そしてその日の夜には主人公と専務のポーカー対決も見られます。手に汗握る真剣勝負…どちらが勝つかは見てのお楽しみ!

サバイバルゲームは敵味方に分かれてペイント銃で撃ち合うゲームです

リン課長代理がものまねしていた人物は誰?

最後に1つ、豆知識を。
第20話でリン課長代理はイーチウの家を訪れます。イーチウがプロ棋士を目指していたことを知ったリン課長代理はイーチウを見直し、2人のきずなはより深まります。この時、リン課長代理はイーチウのお母さんに「誰かに似てる」と言われ、ものまねを披露するのですが…一体誰のものまねをしていたのか、皆さんは分かりましたか?

リン課長代理のものまねに大喜びのイーチウのお母さん

答えはフォン・ゴン(馮鞏)です。フォン・ゴンは漫才師で、中国中央テレビ の超大型年越しカウントダウンイベント番組に33年連続で出演した記録を持つ伝説級のお笑いスターです。
中国の年越し番組は日本の「紅白歌合戦」のような番組ですが、「紅白歌合戦」よりもバラエティに富んでいて、ダンスや歌だけでなく漫才やコントなどのお笑い要素もたっぷりです。リン課長代理がものまねしている「親愛なるみんな、会いたかったよ(亲爱的观众朋友们、我想死你们了)」というセリフは、フォン・ゴンが年越し番組でいつも言っていた決まり文句なのだそうですよ。

おや…無用に思えたお笑いの知識がこんなところで役立った…と、オチがついたところで今回のコラムはおしまいです。皆さん、長々とお付き合いありがとうございました!

マイ・ディア・ライフ〜かけがえのない明日へ〜はこちらから!
1話~3話の冒頭5分はどなたでもご覧いただけます!▼

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