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白息

冬の風物詩
子供の頃はよく見ていた
下向きだと見ることができない景色
大袈裟な僕は自信満々に友達に話す
あの雲は僕の白息で作った

大学生冬の帰り道
僕から出るその白息は一瞬で空に溶けていく
公園のベンチで寒いねと言いながら
僕らの会話へ滲み消えていく

27歳冬の散歩道
ふとマスクを外し夜を歩く
空に溶けてく白息に見惚れ立ち止まる
体の中のもやもやまで空に溶けていく

マスクはその刹那の景色まで覆っていた
空へ溶けていく白息と日常の美しさにマスクをしているこの状況が、どうか早くおわりますように。

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