あれから9年。そして歴史。
今日は3.11。
関東に住んでいた私は、あの日、自宅で大地震を体験した。
でも、地震本体よりも、その後がすごかった。
日本各地で起こった、津波や原発事故などの余波が、次々に報道された。
それをみながら、また恐怖した。
計画停電や、流通がストップして、一時的な食糧難になったこと。
コンビニやスーパーの棚から、食べ物がなくなったこと。
そういったパニックと、世間に広がる恐怖や不安、エトセトラのほうが、すごく印象的に残っている。
世の中、しばらく、ずっと灰色っぽかった。
気がつけば、あれから9年経過した。
でも、あのときの、世の中のパニックや空気だけは、リアルに覚えている。
本能的な感覚として。
正直、少し前から、コロナウィルス騒ぎの今の日本の空気と、
東日本大震災の後の空気と、なんか似ているな~と思っていた。
マスコミが流す情報、政府の情報、人の間で広がる口コミや噂。
そして、恐怖や不安をあおられると、人間は、その人の本質があらわな行動をする。
震災の時も、反省がたくさんあって、みんなが協力していこうってなったはず。
でも、東京五輪とか、表面的に景気が良いようなことをいう政府のせいで、被災地のことや、原発のことは、ずっと放置されてきた。
一部の人たちは、快適に暮らし、良い経済の恩恵をうけ、
一部の人たちは、どこか暮らしづらく、自分の家にも帰られずに借り家暮らしだったり。
こういう状況になると、なにが自分にとっての価値基準なのか、その人の哲学やポリシー、価値観が試される。
その人が、何を信じ、何を基準に行動し、どう生きていくのか。
個々人のありかた、生き方が、世の中に影響していくと思う。
今、目の前の起きていることだけで、いっぱいいっぱいになるのではなく、
私は、歴史という長いスパンで物事をみたら、どうだろう?とおもう。
人間の歴史の中には、これまで戦争がたくさんあったり、飢饉や流行病もたくさんあったはず。
でも、とりあえず、人間は絶滅していないわけだ。
今だって、世界中を見渡せば、飢饉や流行病で苦しんでいる土地や国だってあるはず。
「でも、わたしたちは、関係ない」って、豊かな国の人たちは思い込んでいただけで。
今更だけど、ありがたみとか、感謝とか、そういう気持ちを持った方が良いと、あらためて思った。
「今の日本人は、歴史を知らない」って、そういうフレーズがよく言われるけど、
そして、若者が教育現場で「歴史なんて勉強しなくても、生きていける」って豪語したりするのを、聴くけど。
こんな時、歴史を知っていて、歴史の視点で世の中や物事を眺めたら、これほどパニックにはならないんじゃないかと思う。
過去は古めかしい、終わってしまったことばかりかもしれない。
でも、人間はおろかなほどに、同じことを繰り返すし、大変な事件や災害があったときでも、昔の人が知恵で乗り越えてきたから、今の人類が生き残っているわけだ。
過去から学ぶって、じつはすごく有効なんだとおもう。
人文系の学問を、それが生きていく上で、どんな価値があるのか、意義があるのかを、しっかり提示した上で、教える必要があると感じる、今日この頃。
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