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茜の捜査~勇気の推理ファンゲーム~

※10/28、プレイ報告について追記。

ロボ娘系VTuber・カミカミちゃんの配信(https://www.youtube.com/c/KAMIKAMICh)にて、「勇気の推理 海苔3 バランスの良い食事」の終盤の展開やエンディングに納得がいかないので二次創作のファンゲームを作ろう、という話に。しかし、カミカミちゃんはゲームを作ったことはなく、どこまで原作の雰囲気を出すか、どこまで真面目にするかを悩んでいるとのこと。

そこでゲーム作りの専門家ではないものの、二次創作に長年親しんでいる者として少しでも協力できればと、同じツール(ティラノビルダー)を使って先にファンゲームを制作してみました。
それがこの「茜の捜査~勇気の推理ファンゲーム~」です。

https://47.gigafile.nu/0129-o5e76d9df34617cb42216be6501fc0620

上記リンクからゲーム本体をダウンロードしていただけます。
ダウンロード期限:2024年1月29日(月)
Windowsのみ対応で、動作確認はWindows11で行っています。
私の制作したぶんに関しては原作者様の許可は取っていないので、このnoteとXでの公開に留めることにしました。
・・・まあ、実際のところは某サイトに投稿を試みたものの「二次創作についてのガイドラインが無い作品で、原作者の許可を得ていない作品は掲載できない」とのこと。そりゃそうだ。その節は申し訳ありませんでした。
その他の点は引っ掛からなかったので、直接許可を取っているカミカミちゃんは大丈夫なはず。

ゲームを作ってみた感想はまた別の記事にまとめたいと思います。
今はありがたいことに大きめの仕事が入っているので、それのスケジュールがどうなるかによってタイミングは変わってきますが。

※10/28追記
原作者であるHERO GAMEsの西山慎一さんにプレイしていただけました!
私の方は無許可で作っただけに、お目こぼしいただきありがたいかぎり。

そして、カミカミちゃんにはyoutubeにて実況プレイしていただきましたので、プレイ環境が無い方などは是非こちらでお楽しみください。

追記ここまで。

この記事では、「茜の捜査」の作品解説を記しておきます。
本作では原作のミッシングリンクを描くことに力をいれており、どういう意図でそのネタを採用したのかなどについても細かく説明しています。
こういう細かいネタとかって、言われないとわからないっていうことが残念ながらめちゃくちゃ多いんですよね。
今回は特に、誰もが知っているとか誰もが好きな作品というわけではなく、作品自体が「知る人ぞ知る」というものなので余計に。
そういうわけで、必要以上に詳細に書いてあります。

※以下、「茜の捜査」及び「勇気の推理 海苔」シリーズ、「勇気の推理123」本編のネタバレを含みます。


ストーリー

あらすじ

警察官である茜(あかね)が後輩とともに、同僚刑事の失踪事件の謎を追う。

解説

時系列は「勇気の推理 海苔」よりも前、つまり勇気とは出会っていない頃。しかし同作では具体的な時期や季節が描写されていないので、本作でもそこは不明瞭にした。
原作のような展開の突飛さは抑え、最低限の整合性を確保することでプレイヤーが置いてきぼりになりにくいように気を付けつつ、茜の推理の強引さや全体的におとぼけな雰囲気をちりばめることで原作の風味を出すことを試みた。
原作とは関係ないが、映画「裸の銃を持つ男」の影響もある。

事前にプロットを立てることはせず、ツール(ティラノビルダー)で勢い任せに本文をポチポチ打ち込んでいったので不安もあったが、ライバル同士のいがみ合いと和解を軸にベタな演出で描くことで、意外とまとまったストーリーになった。特にトリックなどを盛り込まなかったのもスムーズに進んだ一因か。
美幸が誘拐されたと判断する要因や、送られたメールの内容、茜が真相に辿り着く経緯など、強引な解決が許される世界観の原作だからこそできた描写が多いのも大きい。

原作にはないちょっとした分岐もある。と言ってもゲームオーバー用のバッドエンドが2種類と、通常のエンディングがあるのみだが。
原作ではゲームオーバーが無かったり誤った選択肢を選ぶと即ゲームオーバーになったりするが、カミカミちゃん用のサンプルゲームとしての側面もあるため、ある程度の分岐を設けた。

登場人物

茜(あかね)

渡海街警・刑事部捜査一課所属の巡査部長。
原作では主人公・勇気の相棒として事件解決に奔走するが、本作では勇気と出会う前であり、相棒である後輩と共に捜査を行う。
陽気とは既に面識のある状態で、選択肢によって陽気について言及する場面がある。
原作では3作目途中まで29歳だが、時系列を不明瞭にする都合で年齢について描写しなかった。イメージとしては勇気との出会いから2~3か月前くらい。

原作「勇気の推理123」では見た目について、黒髪ショートカットで180cmはあろうかという長身という描写があるが、「海苔」シリーズでは描写がないためこれも不明瞭にした。

※細かいネタ解説(時系列順)
・ゲーム開始時に「佃煮海苔パック」を実践しているというモノローグがあるが、原作(1作目)において年齢や外見を気にしていることを踏襲した描写。また、冒頭でまずおかしな世界観であることを感じてもらうためでもある。

・所属部署や階級については原作で一切言及されていないが、刑事ドラマ好きの私の趣味で細かく設定した。

・「この子、渡海街民としての自覚が無いのかしら。」のくだり。原作(1作目)における勇気の食事シーンのオマージュ。

・「海苔出汁味噌汁海苔セット定食」。原作2・3作目の重要な要素である海苔出汁味噌汁。そして「セット定食」は原作における二重表現の多さへのオマージュ。劇中で二重表現を度々使うのははばかられたので、ここで表現。気づかぬうちにやってしまっている可能性はあるが。
また、同場面でゴーラも無理やりねじこんだ。

・「ご家族のことはよく知らないけど。」のくだり。原作(1作目)における勇気が父親に言ったセリフのオマージュ。原作で出会うことになる美紀とはこの時点で面識が無いことを説明する意図もある。(面識があると、原作で対面した時に特にリアクションがないことと矛盾してしまうため。)

・美幸に言われた「元居た会計課に戻った方が合ってるんじゃない?」のくだり。原作(1作目)で勇気の探偵事務所で会計を担当することができたミッシングリンクを描いた。

・「あんなだから恋人もできないのよ。(人のことは言えないけど)」のくだり。原作におけるセリフやモノローグで、不要なカッコが使われることへのオマージュ。同時に、美幸も茜も恋人がいないことを説明させた。

・コンビニでの買い物シーン。スーパーではなくコンビニで買い物を行うことで、多少のだらしなさを表現した。選択肢ののり弁は勇気の好物。たこ焼きとビールは原作(3作目)で茜が事務所内で食べていたもの。ちなみに選択肢はどちらを選んでもセリフが変わるのみ。制作時のサンプルとして無駄に変数を使用してある。

・上記シーンで「スーパーのほうがやすいですよ」というセリフをオマージュとして入れたかったが、冗長になるのでやめた。原作(1作目)で「もちもち~。」しか言えないはずの美咲が急に言うからこそ面白いのでもあるし。

・自宅の背景。カミカミちゃんが配信で使用しているのと同じフリー素材を使用。身内ウケ用のネタでもあるが、酔いつぶれてこたつで寝てしまうややだらしない描写を入れたかったためでもある。

・自宅で見ている「渡海ニュース」。原作でも登場するが何のメディアかわからないため、本作ではテレビであることがわかりやすいようにした。

・電機店で強引に防犯カメラを確認するシーン。茜の強引さを表現するための描写。ラストで自宅謹慎を命じられる根拠でもあり、ベタな刑事ドラマの描写として。

・「船旅なんていいわね。」「船旅!?」のくだり。原作1作目と3作目で、勇気が真相に辿り着くシーンのオマージュ。茜は真相にはたどり着けなかったが、原作と同じく美紀が暗躍していた。
原作ではいずれもテレビの音声だがそこまで同じだとさすがに芸が無いので、電機店のテレビで音が出ていないためテロップとして目に入ったという描写にした。

・都成街の選択肢。本編を短く収めるために舞台としては使用しなかったが、新幹線一本で行けることと、陽気が住んでいて更に面識があることを描いた。行くこともできるがゲームオーバーになる。

・渡海学校の選択肢。勇気や美紀が通う学校で、行くとゲームオーバーになる。そのときのメッセージで、「女子生徒の一人の手が震えているように見えた」描写がある。この女子生徒は美紀本人。原作(1作目)で勇気が美紀に目をつけるきっかけとなった描写のオマージュ。

・「港のそばにあるビルに、たくさんの外国人が出たり入ったりしている。」のくだり。原作(1作目)の太美のマンションの描写のオマージュ。

・「結束バンドらしきもの」「サイレンらしき音」。原作で勇気が「女性らしき人」「ベッドらしきもの」とやたら断定しないことへのオマージュ。

・「それにしてもありがとうね、二人とも。」のセリフ。原作(2作目)、事件解決時の勇気のセリフのオマージュ。後輩には名前が無いので「二人とも」とした。

・「自分の推理を根拠に行動するのはやめにするわ。」のセリフ。原作で自身は推理せずに勇気に任せていることのミッシングリンク。

・「相変わらず嫌味な言い方するのね。いやなやつ。」のセリフ。「勇気の推理123」の1にあたるエピソードで、時限爆弾の解除コード18782のヒントとして登場した「いやなやつ」のメッセージのオマージュ。

・美幸に言われた「もっとドライで冷たい人が相棒に必要かもね?」。作中では結局、茜はビールのことだと解釈したというオチだが、メタ的にはこの後勇気とタッグを組むことの示唆である。物語的には、美幸が茜をたしなめつつ、出世して自分(ドライで冷たい人物像に該当)と組めるようになるのを願っていると示唆する描写。

・「今夜はオールナイトだ」のくだり。原作(3作目)で美咲が甘党女に変貌を遂げた際、勇気から"内心では「今夜はオールナイトだ」などとほくそ笑んでいるに違いない"と思われていたことへのオマージュ。

後輩

茜の後輩で相棒。
原作では二言しかセリフが無いが、本作では主要人物になっている。
しかし、原作同様に年齢性別などは不明で特定できない描写になるよう気を付けた。
原作とは全く関係ないが、個人的にはパワプロ・パワポケシリーズの矢部一族やペルソナ4の足立のようなキャラをイメージして描いた。後者に関しては原作者様もペルソナ好きっぽいので、実際に影響があったのではないかとも思う。
本作においても階級は描写していないが、巡査の想定。

※細かいネタ解説(時系列順)
・海苔の佃煮のビンのふた関連。クライマックスではこれで一命を取り留めるが、シナリオを書き始めた当初は特にそんなつもりではなく、無理やり海苔関連の何かを入れたいというのと、クール系キャラの美幸に変な趣味があることを描写するためのものだった。書いている方としても「まさかここでこれが役に立つとは」という気分だった。ベタな刑事ドラマらしくなって気に入っている描写。

・「大丈夫っす!呼吸も脈もあるっす!」のセリフ。原作(3作目)では陽気の呼吸と脈が無いことを茜が確認した。

美幸(みゆき)

本作オリジナルキャラクター。
渡海街警・刑事部捜査一課所属の警部補。
茜と同期だが階級はひとつ上。
ベタなクール系ライバルとして描いた。
原作の太美・美紀・美咲に倣って、あえて「美」のつくまぎらわしい名前にしている。
ルックスのイメージとしては「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」の霧原未咲。(あちらは27歳で警視。)
生粋の渡海街民であるため海苔好きで、天然海苔(岩海苔)を過剰に保護しようとするシーウィードを敵視している設定だが、冗長になるのを懸念して劇中では詳しく描写しなかった。

※細かいネタ解説(時系列順)
・「あら、茜。ずいぶん暇そうにしてるわね。」のくだり。オマージュというわけではないが、ドラマ「相棒」における伊丹と亀山のやりとりに影響を受けたもの。刑事ドラマ好きならこれでなんとなく二人の関係性を感じ取れるのではないかというちょっとした傲慢。

・「あら!ありがとう。これ街外の商品じゃない?」のくだり。クール系のキャラだが海苔の佃煮のビンのふたを集めているというおとぼけ感で、原作の空気感を再現することを試みた。あとは「街外(がいがい)」というワードを入れたかった。

桃谷(ももや)

本作オリジナルキャラクター。
美幸の後輩で相棒。
美幸が伊丹なら桃谷は芹沢のイメージだが、茜の後輩同様性別は不明瞭にしている。
名前の由来は海苔の佃煮の代名詞『ごはんですよ』の桃屋。
階級は巡査(巡査長)で茜と後輩の中間だが、巡査長は階級ではなく職位であって文面上ややこしいので描写していない。
そのため茜の後輩は、美幸のことを「美幸警部補」と呼ぶが桃谷のことを「桃谷刑事」と呼ぶ。

※細かいネタ解説
・「部屋の隅で三角座りをしてすすり泣いていた。」のくだり。具体的な元ネタは無し。"原作で時折挟まれる変な描写"を意識したもの。

すごろく課長

本作オリジナルキャラクター。
捜査一課の課長で、美紀の父親。
原作(1作目)の福笑い署長に倣ってのネーミング。
原作者様がボードゲーム好きなことへのオマージュでもある。
おとぼけな人物が実は・・・というのも福笑い署長を踏襲したもの。
黒幕である福笑い署長(=詐欺師=美咲の父)に脅され協力していたが、捕らえた美幸を始末しなかったことで最終的に逃してしまったことを咎められ、切り捨てられた。
妻が事件で亡くなっている設定だが、特に細かいことは決めていない。
一人娘である美紀の裏の顔を知らず、しかもその娘に始末され生死も闇に葬られるという本作で最もかわいそうなキャラ。唯一の死者でもある。

※細かいネタ解説
・「確かに計画は振り出しに戻って・・・」「これであがりよ。」のくだり。先述の理由ですごろくという名前にしたので、それらしいワードを無理やりねじこんだ。

美紀

原作1作目と3作目に登場した女子高校生。
3作目で留置所からヘリで脱走できたことのミッシングリンクとして、福笑い署長やテロリストとの関係を描いた。
また、原作では家族の描写がないため勝手に父親をすごろく課長に設定した。
しかしこれも初めから決めていたわけではなく、「すごろく課長には反抗期の娘がいて寂しがっているため話が長い」という設定だけが先にあって、ちょうどいいやということで美紀がその娘であることにした。
すごろく課長は娘が福笑い署長と通じていることを知らず、アルバイトで帰りが遅くなっていると思っていた。

※細かいネタ解説
・「しかも出迎えがこんなガキンチョときた。」のセリフ。テロリストの男A~Dが港に上陸した場面で出迎えたのが美紀であることを示唆している。

福笑い署長

原作1作目に登場した。ジャック犯であり詐欺師であり美咲の父親。
本作では直接登場するわけではなく、すごろく課長の電話の相手として描いているのみ。
テロリストを手引きした黒幕であり、すごろく課長や美紀が彼の指示により動いている。
原作では結局あっけなく捕まってしまうのでちょっとアレだが。

シーウィードのテロリスト(男A~D)

シーウィード(seaweed)とはそのまま海藻・海苔のこと。奇しくも某団体と似た響きがあったので、そこに着想を得てそのまま「天然海苔を保護するために過激な活動をする団体」として描いた。
作劇の都合上、元ネタよりも凶悪な組織として描写したが別に私の思想を投影しているわけではない。政治的な主義主張は一切無い人間なので誤解なきよう。
MY!ケロソフト社長としての顔もある福笑い署長が、資金や銃器の手配をしている。
ルート分岐でバッドエンドになると渡海水産へのテロが成功し、美幸も失踪してしまう。


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