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前を向いて生きるって、時々難しい

自分が5歳や、9歳や、12歳、
17歳や、23歳のような気がする時がある。
その時は急にやってくる。
急に自分は三十代の体をした子供のように感じられて、もの凄い違和感と共に、縮こまって逃げたくなったりする。

結局それぞれ何かの年なのだと思う。
9歳は私が生まれ育ったアメリカから日本に引っ越した歳で、大きな変化が起きたのは明らかだ。
12歳はまた別の出来事が起きた歳。
17も23もしかり。

環境が変わって、感情がついていかなくても、
「生きていかなきゃいけない」と人生を押し進んで歩いて来たけれども、心のどこかがそこでとまっている私がいるから、
ふとした時にその歳の私に押し戻されるんだろうなと思っている。

「今まで生きて来た世界を捨てなきゃいけない」
その上でそれでも生きていかなきゃいけないことは、たくさんある。
自分が望んだ引っ越しではないことを経験すると、どうしてもそういう状態になることが多くなるように思う。
それでも、自分を何度も納得させて前に進むのだけれど、
人生がうまくいかない時、
「ああ、ほんとはあの時から無理矢理自分を納得させて生きて来た」
なんてことを思い出して、急にその頃の自分に戻るんだと思う。

前を向いて生きるって結構大変。
転勤だろうが、親の仕事の都合の引っ越しだろうが、理由はなんであれ、
環境が変わって、自分から動かないと何も発生しない環境になる時、
100%こちらが合わせるしかない時に、
自分からそのエネルギーを搾り出すのって大変。
昔の自分に戻って縮こまった方がどうしても楽だ。
そうやって感傷に浸ることは絶対的に悪いことではないし、必要な時でさえあると思うけれど、
それだけでは生きていけない。
どこかで切り替えなきゃ生きていけない。

日本語が喋れない人生を生きようが、
知りもしない街に引っ越そうが、
人間関係がゼロに戻ろうが、
○歳の自分に戻りたがる自分をたしなめて、
前を向いて生きるって大変。
センチメンタルになり過ぎないようにするって大変。

でも、多少は自分の中で失ったものを悲しんでやることもしてあげたい。

バランスって本当に難しい。

私は4月から、人生で7箇所目の街に住んでいる。
その都度繰り返すこの引っ越し後ブルーの波の手懐けの仕方に、まだ手を焼いている。
私の引っ越しは最初は大体順調だ。
新しい環境へのわくわくと、慣れなければならないという自分へのプレッシャーと、やらなければならないことのオンパレードとで、感傷的になっている暇などない。
そして、その波が過ぎたあたり、急に引っ越し後ブルーがやってくるのだ。
引っ越して2ヶ月近く。
私は今引っ越し後ブルーの中で、そんな自分に手を焼いている。

でも、手を焼くぐらい、いいよね、と言いたい。
たまに、謎の少女返りをしてもいいよね、許してね、と言いたい。
センチメンタルになって、厨二病になって、
甘ったれて、弱って、クサってもいいよね、
少しなら、
と言いたい。
また私はどこかで切り替えて生きていくんだから、たまにはこうなる自分を許しながら、
国を越えて、言語と文化と人生ががらりと変わることから始まった私の引っ越し人生を、
前を向いて生きていくのだと思う。

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