見出し画像

ツッコミの難しさの話

お笑いは面白い。
面白いものを見ているんだから面白いに決まっているのだが、色々考えさせられるところもある。

コントの奇抜な設定の発想力や、演じ方による受け取り方の違い、ダチョウ倶楽部みたいな予定調和のお笑い、テンドン、アドリブの笑い…

ハイテンションでも面白いし、はたまた逆のローテンションでも面白い。
同じ「笑う」という感情になるのに様々なアプローチがあるのは面白いなと思う。

漫才、ボケとツッコミ

お笑いのスタイルに漫才がある。
多くは2人組でボケとツッコミに分かれてマイクの前で喋りを行う。
ボケが面白いことを言って、ツッコミがそれに反応する。

ボケのほうが目立つことをするのでたいていボケのほうが大事だと思われそうだが、ツッコミも大事だなと最近思った。
ツッコミの内容次第でボケがさらに面白くなったり、場をシャッキリさせたり、逆にツッコミのほうが面白くなることもあると思う。

ツッコミで全体の印象がガラっと変わるなということを皆様に伝えようと思う。


ツッコミ例5パターン

ベタなボケを用意して、またそこに異なる色のツッコミを5パターン考えてみた。

ボケ例「♪チャラリー 鼻から九州〜」

①「どういうこと!?」
②「鼻から九州がまるごと出るわけないだろ!」
③「一旦鼻に入れてたんだ」
④「すごい気になっちゃうな」
⑤「そうそう本州はすんなり入るんだけど〜、ってそんなわけないだろ!」

個人的には③と④が好きだ。順番に見ていこうと思う。

①「どういうこと!?」は新しい情報を足さずにツッコミがただ驚くだけに留めることによってボケそのものを際立たせたる良さがあると思う。
大道芸人の近くで「すげ〜!」と叫ぶことでなんかすごそうに見える、のようなちょっとしたサクラ感もある。

②「鼻から九州が丸ごと出るわけないだろ!」のオウム返しはツッコミもボケと全く同じ役割になることでダブルボケのコーラス効果が掛かる良さがある。ぶっといボケができる。
思い切りキレ叫んだら面白いが、淡々とツッコむのは難しいと思う。

③「一旦鼻に入れてたんだ」はボケの内容を受け入れながら受け手に詳細を想像させる良さがある。
ボケの世界観を増幅させるツッコミも加わってのダブルボケ、自分は結構好きだ。

④「すごい気になっちゃうな」はボケの内容がどうであれボケの人柄を受け入れていて、ツッコミ自身も自分の人柄を出しててコンビの暖かい感じが良い
否定せずに相手に一旦共感することで生まれる信頼感が心地いい。

いわゆるノリツッコミ。自分もボケて乗っかってから訂正するツッコミ。
人間はみんな訂正できるポイントがあると気持ちいい動物なので、ボケに乗っかった後に「そんなわけないだろ!」とどうしてもツッコみたくなる。
割と昔ながらのツッコミだと思う。
これもツッコミがなぜかキレ散らかしていたら面白い。


ツッコミでどんな笑いを起こしたいか

単純な「なんでだよ!どういうことだよ!」みたいなボケを立てようとするツッコミと、さらにボケに乗っかって笑いを起こそうとするツッコミ。

ツッコミをどんな内容にするのかは芸人さんの個性が出るところだけど受け手のレベリングというか、どの層を対象に設定してるかで踏み込み具合が違うよなと思った。

あんまりツッコミがぶっ飛びすぎるとポカンだし、「なんでだよ!」だけだと単純に感じてしまう。
でも単純な「なんでだよ!」も言い方が面白くて毎回恒例のツッコミみたいになればそれだけで拍手送るくらいウケを取れたりするから、笑いのスタイルはすごく多岐に渡っていて面白いなと思った。

お笑いから学ぶこと

「違うだろ〜!」と大声で訂正するのはスッキリする

お笑いに限らず、何か人の情報・主張に違ったところがあると人は指摘・訂正したくなることが多い。
「そこ、誤字ってますよ」「無茶苦茶で草」「いやいや、そもそも〜」
日常生活でも人間は皆ツッコんでいる。

お笑い以外の場ではツッコミの余地をあえて残すことが重要で、わざとちょっと文字に誤字・誤植を入れたり、思わずツッコみたくなるような要素を少し入れることで、人々の脳内に残りやすいんじゃないかと思う。

人間が真面目だからこそ、ツッコませたくなる内容にする。モヤモヤさせる。
ツッコミたくなるようなボケを入れるのも大切だなと、ツッコミのことをずっと考えていたら思った。

ボケは人の距離を縮める素敵な文化だ。
それを受けた後のツッコミによるレシーブは非常に難しい。
難しいが頭を使っても解明できない面白さもある。

やはり、「ドント・シンク・フィール」か。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?