わたしのよろめき

数年前、私にはセフレがいた。
彼はその当時勤めていた会社の同期だった。
顔が好みだったのと、家が近かったことから都合が良いと思い、自分から接触をはかった。
恋人にはなれないが、セフレになるのは簡単な間柄だった。セフレの方が相手に求める要件が少なく、ハードルが低いのだろう。
ストレスがどうしようもなく高まっているのに恋人と会えないような日に彼と会った。
セフレというと、恋人よりも性行為が上手なイメージがあるが、彼は違った。
彼は恋人よりも性に淡白だった。テレビをつけながら行為をし、短時間で終わった。
あれも恋人より小さかった。なにより違ったのは、勃起の角度だ。彼は垂直までしか勃起しない。恋人のそれはいつも完全に天を向くため、本当に驚いた。セフレと恋人は同い年のため、年齢の違いによるものではなく個体差なのだと思う。なお、どちらが良いというわけではなく、何なら垂直の方が舐めやすい場面もある。
しかし、恋人との行為においてバックを気持ちよいと思ったことがなかったが、セフレとの行為で、はじめてバックを気持ち良いと感じた。勃起の角度や長さが関係しているのか、恋人とするときとは、なかの当たる場所が違うのだ。理想とされるようなそれが実際の行為の良さと比例しないということを実感した。
バックではセフレに軍配が上がったが、事後の幸福感やその他の様々な点で恋人の方が上回った。彼の引っ越しを機に会うことはなくなった。
私が結婚をした後も、彼からたまに連絡があった際には返信していたが、彼がメンヘラのようなことを言い、面倒になったので、既読スルーしたりした。
今年に入って、LINEをブロックした。
私がセフレを必要とした理由が既に解決されており、また、今後も彼を必要とすることはないと思ったからだ。
今思えば彼とは関係を持つべきではなかっただろう。彼とは、身体の関係を持つ直前が一番楽しかったように思う。
ただ結婚前にこういう体験をしたことは、よかったと思っている。恋人(現夫)ほど気があって身体の相性もよい人はいないと思うようになったし、不倫や浮気などはリスクを犯すほど魅力のあるものではないと分かったからだ。また、もし夫が今後浮気した際には、「まあ私も結婚前に浮気していたからね。」と思うことで怒りを少し和らげられるのではないかと思う。

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